くらし 【クローズアップ】あなたの「いいね」大丈夫?(1)

■ちょっと待って あなたの「いいね」大丈夫? 加害者になるかも
私たちの生活を便利にしてくれるインターネット。SNSでは、誰かの投稿に対して気軽に「いいね」や「リポスト」ができますが、そのことで傷ついている人がいるかもしれません。意図せず加害者とならないため、私たちが身に付けたいモラルとインターネットリテラシーについて考えます。
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【01】知る インターネットと人権
インターネット上のトラブルについて、被害の現状や特性を知りましょう。

◆インターネット上の誹謗(ひぼう)中傷拡散が続いて社会問題に
令和6年度に府のインターネット上のトラブルに関する相談窓口に寄せられた件数は約400件。10代からシニア層までの幅広い年代が被害に遭っています。
相談案件の56.7%が誹謗・中傷に関する相談で、内訳を見ると名誉棄損・侮辱に関する相談が突出していて、次にプライバシー情報の暴露に関するトラブルが多く発生しているのが特徴です。

▽トラブルはこんな所で発生
・SNS
・動画配信サイト
・口コミサイト
・ニュースサイトのコメント欄
・地図アプリのコメント欄
など

誹謗・中傷に関する相談の内訳(重複集計あり)

府インターネット誹謗中傷・トラブル相談窓口「ネットハーモニー」(R6年度)

SNSだけでなく、口コミサイトなどに誹謗中傷が書き込まれることもあります。インターネット上で一度拡散された情報を全て削除することは極めて困難であり、深刻な社会問題となっています。

◆安易に加担していませんか
誹謗中傷を主体的に行うことはもちろん許されませんが、そういった投稿を見て、匿名だからと安易な気持ちで「いいね」や「リポスト」(※)などの行為をしていませんか。
第三者であるあなたにとっては軽い行為であっても、被害者を傷つけ、不確かな情報の拡散につながることがあります。こういった行為に加担しないモラルと情報に惑わされないインターネットリテラシー(適切に活用する知識や能力)が重要です。


・いいね…投稿に対する関心や好意的な意思を表示させる機能
・リポスト…他のユーザーの投稿を自分のアカウントに再度表示させる機能

◆自分の行動には責任が伴う
健全なインターネット環境の整備や被害者救済を目的に、近年、さまざまな関連法が改正され、投稿の削除要請や発信者情報の開示請求などの措置が広がっています。
開示情報を元に、名誉棄損、プライバシーや肖像権の侵害など、被害者から裁判で損害賠償請求を受けることもあります。
また、刑事罰である侮辱罪の厳罰化も進み、逮捕者が出ています。一般社会と同じように、インターネット上であっても自分の行動には責任が伴います。

▽法の整備状況
令和4年7月 刑法の侮辱罪が厳罰化
・「1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」に引き上げ
・公訴時効が1年から3年に拡大

令和4年10月 改正プロバイダ責任制限法施行
・発信者情報開示のための裁判手続きが簡略化され、発信者の特定が容易に

令和6年5月 情報流通プラットフォーム対処法施行
・検索サイトやSNSを運営する大規模プラットフォーム側に対して削除申出窓口の整備などが義務化