くらし 人権ほっと(218)

■民族学校をめぐる問題
大阪教育大学名誉教授 堀 薫夫

夏の風物詩のひとつに高校野球がある。昨夏の高校野球の優勝校は京都国際高校であったが、同校の校歌が話題になった。校歌が韓国語(ハングル)なのである。なぜ韓国語の校歌なのかといえば、同校の前身が京都韓国学園なる民族学校で、二〇〇四年度から現在の校名になっている。ただ校名は変わったが、校歌は継続されたのである。なお、校歌が日本語でない高校はほかにもあり、例えば同志社(系列校)の校歌は英語である。
ここで重要なのは、京都韓国学園から京都国際高校に校名を変更した点、つまり学校教育法第一条校になったという点である。逆にいうならば、民族学校は、法律上は高等学校として認められていないということである。
日本の学校教育を司る学校教育法では、その第一条で、学校を小学校・中学校など9種類としている。そしてその第134条以降の雑則にて、専修学校や各種学校などを「学校教育に類する教育を行うもの」としており、民族学校はここに入る。つまり民族学校は法的には学校とはみなされていないのだ。
ここで大阪の事例として、スポーツで有名な民族学校である、大阪朝鮮(中高級学校)を考えたい。日本のラグビーの司令塔である神戸製鋼の李承信選手は明治大学出身であるが、高校は大阪朝鮮である。高校ラグビーの全国大会にも大阪朝鮮が大阪府代表で時々出場している。文科省もようやく高校に相当する課程を卒業した者であれば、各大学の判断により入学を認める方針になってきている。
しかし同校が京都国際高校のように一条校をめざすとなると、別の問題も出てくる。文科省の検定教科書を使うことが義務となり、朝鮮語で授業ができなくなる。2つの高校の背後にもある人権問題。

問合せ:人権推進課
【電話】072-972-1544