くらし あなたとともに~私の幸せ あなたの幸せ まちの幸せ〔39〕

■広がる理解の輪
手話言語条例などの制度が整い、病院の通院や趣味の講座など、生活の一場面でも市役所を通じて手話通訳を派遣できる仕組みが整ったことで、手話通訳を必要としている人が社会参加しやすい環境が広がっていっていると感じている関さん。「活動を始めたばかりの頃は、講演でシナリオなど資料の事前提供の理解がなく、いきなり本番で手話通訳を担うこともあった。地域でも手話が浸透していなくて、周囲から珍しく見られることもあったが、最近は少しずつ溶け込んできた気がする」と関さんは嬉しそうに話す。

■伝えたいのは“気持ち”
通訳で大切にしているのは、言葉をそのまま訳すことではなく、言葉の背景や気持ちまで届けることだという。「聞こえないことで得られない情報がないように、感情やニュアンスも含めて伝えることを意識している」と関さんは話す。「方言のような地域特有の言語もあり、とても奥が深いけれど、覚えることでコミュニケーションの幅も広がる。皆が通訳ができる必要はないけれど、ろう者と関わるきっかけとして手話を用いることは誰にでもできる」と語る。手話が当たり前の地域になってほしい。その思いを胸に、学びを重ねながら活動を続けている。

関 美佐子(せきみさこ)さん(羽渕)
手話をはじめたのは約30年前から。手話に興味があり、本などで独学で学んでいたという関さん。たまたま、きこえない人が主役のテレビドラマで手話を目にした時、本格的にやってみようと思い、手話の公民館講座を受講。当時は地域に手話がまだ十分に浸透しておらず、講座終了後に有志で手話歌グループを立ち上げるなど、身近に手話を感じてもらえるような活動も実施。現在は、月1回程度、市の講演会などで手話通訳を務めている。