文化 神河町の歴史文化遺産

■遺跡の年代を決める手がかり「土器(2)」
今回は6月号で紹介した土器とその年代について、詳しくご紹介します。
これは神河町中村にある中村御庵遺跡から出土した須恵器という種類の土器です。この土器の年代を考えるため、今回は底の部分に注目してみます。底部のわずかに突出した部分を高台といいます。ここに見られる年輪のような跡は、成形した土器をろくろから切り離すときに使用した糸の痕跡で、平安時代からみられるようになります。
次に高台を横から見ると、つぶれたようになっていて、きれいに整えられていません。高台は、平安時代には仕上げの調整が丁寧にされていましたが、時代が下るにつれてそうした工程が省略されるようになります。
これらの特徴から、この土器が作られた年代は12世紀の終わりから13世紀前半にかけての時期と考えられます。中村御庵遺跡から出土した他の土器も同様に13世紀前半の年代を示しており、このような情報によって、この遺跡の年代を鎌倉時代と判断することができます。