文化 神河町の歴史文化遺産

■地域のたからもの(2) 新野山根古墳・北野遺跡
新野山根古墳は、新野熊野神社北側の林の中に存在する直径12mの円墳です。現在は墳丘が大きく失われており、横穴式石室があったと考えられる中心部のくぼみ周辺に石室の石材が散在しています。現況から推定される石室の規模は長さ6mほどになります。この古墳出土と伝わる土器の年代から、6世紀の終わりごろに作られた古墳であると考えられます。
北野遺跡は、新野山根古墳の周辺一帯に広がる古墳時代から奈良時代にかけての遺跡です。古くから土器などの遺物が採集されていましたが、中でも円面硯(えんめんけん)が採集されたことで貴重な遺跡であることがわかりました。円面硯は、円形のすずりのことで、文字を書く人物の存在を示す遺物であることから、主に役所的な性格の遺跡で出土する遺物です。つまり、北野遺跡もまた役所的性格をもった遺跡である可能性が考えられます。
これらの遺跡の存在は、その一帯が古墳時代から奈良時代にかけて非常に重要な位置を占めていたことを示しています。同時期の神河町ではちょうど川を挟んだ対岸の位置に福本遺跡が存在し、これらの遺跡が古代の堲岡里(はにおかのさと)の核といえる存在であったと考えられます。