- 発行日 :
- 自治体名 : 兵庫県太子町
- 広報紙名 : 広報たいし 2025年9月号
■命の尊さに向き合って
8月は、「人権文化をすすめる町民運動」推進強調月間でした。3日に開催された記念大会では、人権ポスター・標語の表彰や菅野ミキさん(&MIKI代表・義肢装具士)による記念講演が行われました。町民の皆さんにとっても人権について考える良い機会になったのではないかと思います。多数のご参加、ありがとうございました。
さて、私事になりますが、先日、鹿児島県南九州市にある知覧特攻平和会館を訪れました。10年振り、二度目の訪問となります。館内には、第二次世界大戦末期、若くして特攻に散った隊員の遺影や遺書が静かに並び、その一つ一つから、彼らの苦悩と覚悟、そして家族や故郷への深い愛情が痛いほど伝わってきました。彼らは国の未来を信じ、家族や愛する人への想いを胸に、文字通り命をかけて特攻しました。しかし、そこにあったのは本当に「自由な選択」だったのでしょうか。そして、なぜ彼らは「死ぬこと」を選ばなければならなかったのでしょうか。その問いが心に深く突き刺さりました。
戦争は、命や尊厳を奪い、人権を無視する極限の状況です。平和は、こうした過去の悲惨な出来事の上に成り立っていることを改めて実感しました。
現代の私たちは、言いたいことを自由に言い、行きたい場所に行くことができます。しかし、世界に目を向ければ、今もなお抑圧や暴力に苦しむ人々が存在します。だからこそ、過去を忘れず、「命の大切さ」と「一人一人の尊厳」を守る姿勢が大切であることを再認識させられました。
知覧で感じた「命の重み」と「生きる尊さ」は、過去の出来事ではなく、今を生きる私たちへの問いかけです。私たちは、彼らから託された未来を生きています。そのことを胸に刻み、互いの違いを認め合い、共に生きる社会を築く努力を日々の暮らしの中で重ねていくことこそが、人権を大切にするということではないでしょうか。
未来の世代が、再び同じ過ちを繰り返さないために…。知覧の記憶は、今を生きる私たち一人一人に、人権の本質を静かに語りかけています。
問合せ:社会教育課