- 発行日 :
- 自治体名 : 兵庫県新温泉町
- 広報紙名 : 広報しんおんせん 令和7年6月号 vol.237
新温泉町の豊かな歴史・文化・自然をまちづくりに活用し、次世代へ伝える新たな取組
新温泉町登録文化財制度
新温泉町では、文化財を「地域の宝」と位置づけ、町民や地域内外の多様な連携のもと、継続的な保存と活用を通じて、町への誇りと愛着を育むまちづくりを進めています。その一環として、令和5年度に「新温泉町文化財保存活用地域計画」を策定し、文化庁の認定を受けました。
さらに令和6年度に「新温泉町登録文化財制度」を創設し、地域に根ざした文化財の保存・活用を進めることで、地域計画の着実な推進を図っています。
このたび、制度創設後初となる2件の文化財を「新温泉町登録文化財」に登録しましたので、ご紹介します。
■「新温泉町登録文化財制度」とは
従来の「指定文化財制度」は、学術的、芸術的に高い価値があると認めたものを文化財として指定し重点的に保護するための制度です。指定を受けることで文化財を守るための恩恵が受けられる一方で、保存していくために強い制限がかけられます。
これに対し「登録文化財制度」は、従来の指定の対象となる文化財の範囲を広げ、文化財指定の基準からは外れるものでも、地域の歴史や文化を伝える重要な文化財をゆるやかに守っていく制度です。指定文化財と異なり強い制限はなく、文化財を「保存しながら活用する」ことに重点を置いています。
▽登録までの流れ
1.湯村温泉の湯がき文化
種別:無形民俗文化財
所在地:湯1248湯村温泉「荒湯」地内
登録団体:湯村温泉観光協会
登録理由:
湯村温泉は1,200年前、旅の高僧が温泉を発見したとされる「慈覚大師伝説」が有名ですが、実際に奈良の平城京跡から「但馬二方温泉□」と書かれた木簡が出土するなど、奈良時代にまでその起源をさかのぼることができます。
温泉としての効能はもちろんのこと、開湯以来地域の台所・洗濯場として、朝昼夜問わず地区民が集まる場として利用されてきました。源泉「荒湯」を利用して山菜や野菜などを湯がく「湯がき文化」は、古くから生活の場として人々の暮らしにかかわってきた湯村温泉の歴史が、現代まで食文化としてつながっていることを示しています。湯村温泉の持つ豊かな温泉文化を代表するものとして、今回登録しました。
2.面沼神社のお茗荷祭り
種別:無形民俗文化財
所在地:竹田1面沼神社境内
登録団体:面沼神社筆頭総代
登録理由:
面沼神社のお茗荷祭りは、新年にその年の豊凶を占う年占です。兵庫県内では、竹筒とおかゆを一緒に炊き上げ、竹の中に入っている米粒の量でその年の作物の出来栄えを占う「粥占」が多く行われており、そのなかで茗荷の生育状況で占う面沼神社は特殊な例であるといえます。実際に、県内では朝来市の粟鹿神社で類似した祭礼が行われていた記録がありますが、現在は廃絶しているため現行の行事として行われているものでは県内唯一のものになります。
面沼神社のお茗荷祭りは、近隣に例のない貴重な民俗行事というだけでなく、井土・竹田地区で近世から人々の五穀豊穣を祈願する新年の行事として大切に伝承されてきた神事であることから、今回登録しました。
問合せ:生涯教育課文化財室
【電話】82-4490