- 発行日 :
- 自治体名 : 兵庫県新温泉町
- 広報紙名 : 広報しんおんせん 令和7年6月号 vol.237
■ウシノケグサ(イネ科)
先日、町の医院で定期検診を受けるため、待合室で順番を待っていたところ、いろいろな会話が聞こえてきました。聞くともなしに聞いていると、「近頃はどうした訳か、ウシノケばっかりが生えてな、困りもんだ。前は一つも見んかったけど」と。えっ、それってウシノケグサのことかな、と思いながら聞いていましたが、それに続く会話がないままに、次の話題へ移ったようです。農業地域でもあるわが町なので、ウシノケグサの名前をあげて問答をしている人がいても不思議はないですが、思いがけない場所で耳にしたので印象に残りました。
ウシノケグサ(牛毛草)はヨーロッパや北アフリカ、アジア原産のイネ科の多年草で、日本ではタカネ草と呼ばれていたそうです。酸性土壌にも強く、耐暑性が強く、根が深く地中を這い、永続性に優れていることや種子の生産性が高いなどにより、「優良品種ケンタッキー31フェスク」として発表されてから、斜面の牧草地や新設道路の法面緑化利用、造林地の被覆、回復植物などに大いに利用されるようになったそうです。
草の高さは50~200cmで株基から叢生(そうせい)(群がって生える)、葉は長さ5~15cm、幅3~4mmの線形で、5~6月頃、茎頂に細長い枝を出して多数の小穂をつけます。小穂は長さ6~7mmで3~5個の白か紫緑色の小花です。ウシノケグサの名前の語源は一面になびく草姿が牛の毛を連想させたからとか。イネ科植物はどれもそのように見えるのに、とりわけ身近な牛を連想して付けた名前なのでしょう。花言葉を見ると、「信頼」ということで、なるほど、草質からして強い信頼が得られそうな植物です。
文・写真 中澤博子さん