文化 未来へ“つなぐ”地域の宝もの

文化財に関わる新温泉町民の輪を広げ、また、子どもから大人までの幅広い年代の方に興味・関心を深めてもらうため、町内に数多く分布する文化財を隔月で紹介します。

■第14回為世永神社の石造物群
平成30年に新温泉町諸寄地区は、「北前船寄港地・船主集落」として日本遺産の認定を受けました。江戸時代中期から明治時代にかけて、日本海を中心とした「動く総合商社」として物流の中心を担った北前船の歴史の中で、諸寄は風待ち・潮待ちの港として栄えました。また、諸寄には船を所有し各地で交易をおこなう船主が存在しており、その活動を今に伝える痕跡が残されています。
今回紹介するのは町の指定文化財「為世永神社の石造物群」です。諸寄港を見下ろすように位置する為世永神社は、航海の安全と商売繫盛を祈願する船乗りたちの厚い信仰を集めていました。神社境内にある灯篭や玉垣などの石造物群は明治17年から18年にかけて行われた改修工事の際に建設されたもので、この工事には地元だけではなく全国の船主から寄付が集まりました。
こうした経緯から、境内の灯篭や玉垣には大阪や下関、尾道、直江津(新潟)など、北前船の航路にある商家の名前を見ることができます。また石材として使われている来待石は、出雲地方で産出し商品として日本海沿岸に広く流通した石材であり、当時の流通網の広さを知ることができる貴重な文化財であります。
※6月21日(土)に「北前船寄港地祭り」を開催予定です。皆さんのご来場をお待ちしております。

問合せ:生涯教育課
【電話】82-5629