- 発行日 :
- 自治体名 : 奈良県斑鳩町
- 広報紙名 : 広報斑鳩 2025年1月号
■史跡中宮寺跡歴史公園の北方で見つかった遺構
斑鳩町では、史跡中宮寺跡歴史公園を憩いと交流の場として、みなさんにご利用いただけるよう努めています。
史跡中宮寺跡歴史公園では、今年もコスモスが咲き誇り、多くの人に来園していただきました。
今回は、史跡中宮寺跡歴史公園の北方で見つかった遺構についてご紹介します。
◇道路建設に先立つ発掘調査
史跡中宮寺跡では、公園用地内の北辺付近にあった東西方向の道路が公園整備にともない通行できなくなるため、公園用地の外側に新たに道路を設けることになり、平成29年度に、道路建設に先立ち、事前の発掘調査を行うことになりました。
計画道路は、公園用地の北辺に接して、西側の県道奈良大和郡山斑鳩線から東へ61mの範囲で、道路幅は3mです。発掘調査は、このうち道路の北側に設けるコンクリート擁壁(ようへき)の設置に伴う掘削範囲の1.2m分の東西に細長い範囲で行うことになりました。
◇東西方向に並んだ柱穴
発掘調査の結果、調査区の西端から東端までの間で、東西方向に並んだ柱穴(はしらあな)が23個見つかりました。
これらの柱穴は、東西方向の塀の柱穴と考えられ、中宮寺跡の北限の東西塀と同じ方位であることから、ある時期の中宮寺跡の北限と考えられます。両者の東西塀の柱穴の埋土(まいど)には共通して炭が含まれていることから、火災などにより、塀の建て替えが行われたことが想定されました。
◇中宮寺跡の北方での範囲確認調査
これらの柱穴は、中宮寺跡に関係する重要な遺構(いこう)と考えられることから、道路建設を一旦中止し、そのさらに北方において、中宮寺跡に関わる遺構の有無を調べるための範囲確認調査を、平成30年度から令和4年度までの5か年計画で行いました。
調査の結果、この区域からも建物跡や溝などの遺構は見つかりましたが、中宮寺跡と密接に関わる遺構であるとの確証は得られませんでした。現在、当初見つかった東西塀について、史跡の追加指定を受けるため、関係書類を文化庁に提出しているところです。
史跡中宮寺跡の北方域については、見つかった遺構の保護をはかりながら、公園をより多くの人に利用していただけるよう、遊具の設置を含めた駐車場の整備を検討していきます。