文化 いにしえの風 斑鳩文化財センターだより

■勾玉(まがたま)ってなぁに?
今月号では、夏に毎年開催する「こども考古学教室」で行う「勾玉づくり体験」の「勾玉」について、紹介します。

◇勾玉(まがたま)とは
勾玉とは、「C」字のように曲がった形をしており、一方の端に穴があいたものをいいます。この独特な形は世界中でもほとんど出土例がありません。
では、どのようにしてこの形が生まれたのでしょうか?一説には、縄文時代につくられた動物の犬歯(けんし)(牙)でできたペンダントをまねたというものがあります。勾玉は集落から出土することは少なく、お墓や古墳などから被葬者(ひそうしゃ)が身に着けた状態で出土することが多くあります。このように、勾玉は古代の人が身に着けていた装身具(そうしんぐ)(アクセサリー)として使われたほか、お守りや、権威(けんい)を象徴する意味もあったと考えられています。勾玉は古墳時代に最盛期を迎えますが、古墳がつくられなくなるにつれて、勾玉の出土数も少なくなります。
八世紀につくられた東大寺三月堂(さんがつどう)の本尊である不空羂索音(ふくうけんさくかんのん)の頭を飾る宝冠(ほうかん)には8個の勾玉が飾られており、成分分析を行った結果、このうちの一点が弥生時代に日本にもたらされたガラス製品と同じような成分を示していることがわかりました。

◇勾玉の穴のあけ方
古代の人は勾玉の穴をどうやってあけたのでしょうか?鉄のきりが使用されるようになったのは弥生時代の終わり頃で、それ以前は竹のきりの先端に、勾玉の素材の石より硬い石の粉末をつけて穴をあけていたと考えられています。穴をあける技術は難しく、途中で割れたり、穴が曲がったりなどの失敗した勾玉が遺跡から見つかることがあります。

◇藤ノ木古墳出土の勾玉
勾玉の素材については、石製のものが最も多く、特に「ヒスイ」という、硬くて緑色をした綺麗な石がよく使われていました。また、ガラス製や土製、金属製のものなどがあります。六世紀後半に造られた藤ノ木古墳からは、銀製鍍金空勾玉(ぎんせいときんうつろまがたま)が127個出土しています。銀製鍍金空勾玉の「鍍金」とは、水銀に金を溶かしたものを塗り付け、それを加熱し水銀を蒸発させて金を付着させる方法です。また、「空勾玉(うつろまがたま)」とは、中が空洞になっている勾玉のことです。金属製の勾玉は出土例が少ないため、藤ノ木古墳の勾玉は貴重で、先端に紺色(こんいろ)のガラス玉がはめこまれた珍しいものです。

■参加者募集
こども考古学教室~勾玉づくり体験~
日時:8月3日(日) 午後1時30分~3時30分
場所:中央公民館 創作室
対象:町在住の小学4~6年生とその保護者
参加費:1人あたりの材料費200円+保険料100円程度(※当日徴収)
定員:10組20人(定員を超えた場合は抽選)
申込期間:7月4日(金)~18日(金)参加者の住所、氏名、電話番号を次のいずれかの方法でお知らせください。
・斑鳩文化財センター窓口(土曜・日曜日・祝日を除く)
・【FAX】0745-70-1201
・Eメール ※Eメールは本紙をご覧下さい。

問合せ:地域振興課(斑鳩文化財センター)
【電話】0745-70-1200