- 発行日 :
- 自治体名 : 奈良県吉野町
- 広報紙名 : 広報よしの 2025年9月号 No.1042
◆マダニに咬まれて肉アレルギー
暖かくなり野山に出かける機会が増えてくると気を付けなければならないのがマダニです。マダニに咬まれて肉アレルギーを起こして、ショックとなることがあり、最近注目されています。マダニに咬まれるとマダニの唾液に含まれるα-ga(lアルファガル)に対する抗体が作られ、これが肉に含まれるα-galと反応してアレルギー反応を引き起こすためで、α-gal症候群と呼ばれています。まだあまり知られていないため、正しく診断されないことがあるようです。
これまでお肉を食べても大丈夫だった人が突然アレルギーを生じるため、最初は何が原因かわからない場合が多いです。牛肉や豚肉など哺乳類の肉で起こりますが、鶏肉は大丈夫です。原因が分かれば乳製品やゼラチンが含まれているお菓子や薬のカプセルも避けます。さらにはカレイの卵にもα-galが含まれていることがわかり、子持ちカレイの煮つけを食べたあとにアナフィラキシーショックが起こった例が報告されています。
通常の食物アレルギーは食べてから数十分後に発症することが多いのですが、α-gal症候群は2時間以上経過してから出現するため、夕食後の就寝中に起こったりします。
症状はじんま疹や息苦しさ、嘔気などです。血圧低下や呼吸困難などアナフィラキシーを疑わせる症状があるときは、即座のエピネフリン注射が必要になるため一刻も早く病院を受診してください。
血液型がB型またはAB型には起こりにくく、主にA型とO型に発症します。マダニ抗体の検査は一部の施設でしかできず、保険適応でないため、診断は臨床症状から推測することになります。マダニに咬まれるのが一回だけなら抗体は減弱していきますが、複数回の咬傷で増強されます。食肉をさけて数年マダニに咬まれないようにすれば、だんだんとお肉が食べられるようになります。
奈良県医師会