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- 自治体名 : 和歌山県紀の川市
- 広報紙名 : 広報紀の川 令和7年11月号
地域の風土や暮らしが生んだ郷土料理。合併20周年を記念し、20年後の未来に残したい紀の川市の郷土料理」を考えます。
■20年後も残る味を考える
全国各地には、多くの人に親しまれている郷土料理がある一方で、家庭で作られなくなった料理も少なくありません。郷土料理は単に作られてきたものではなく、その土地の風土や暮らしの中から「生まれてきた」ものです。歴史の異なる5つの町が合併して誕生した紀の川市には、それぞれの地域で親しまれてきた食材や調理法があります。新たな料理を「つくる」のではなく、市の郷土料理として20年後にも残る料理をみなさんと共に「考える」取り組みが始まっています。
■広がる新たな郷土の味
家庭で親しまれてきた料理を地産地消、令和時代の調理法という視点で捉えなおすことを基本姿勢として、8月3日、小学4年生とその家族を対象に郷土料理の試作会を開催しました。市の特産品である桃を使ったフルーツカレーや、市内福祉施設のレシピを基にした桃の鶏そぼろなどを試作。地域の食材・文化・人の力が結集し、子どもたちは慣れない手つきながらも一生懸命に調理しました。また、近畿大学生物理工学部学生サークル「食ベガク」のみなさんの協力も得て、地域の味の魅力を再認識しました。
調理監修には和歌山信愛短期大学准教授の森岡美帆さんと、創-hajimecafe-施設長の野中康寛さんが参加。栄養面の助言を受けながら、地元食材を活用した地産地消の郷土料理として、家庭でも作りやすいレシピ作りを今後も進めていきます。
■郷土料理とは?
▽和歌山信愛短期大学准教授 森岡美帆さん
ある地域や地方で長年にわたって伝承されてきた、特有の食文化を反映した料理のことです。
その地域の風土、気候、歴史、宗教、習慣などに基づいて発展した料理であり、地元の食材を生かした調理法や味付けが特徴です。
・我が家のレシピは、シン・郷土料理かも!?
・紀の川市の郷土料理ってなに?
■高校生がつなぎ、伝える
市の食文化継承に向けた取り組みの一つとして、高校生たちも重要な役割を担っています。
貴志川高校では、令和4年度から郷土料理の調理を家庭科の授業に取り入れ、継続的に実施。今年度で4年目を迎えたこの学習は、「かきまぶり(ちらし寿司)」を通じて、生徒たちが地域の食文化を守り、未来へつなぐ意義を体感する貴重な機会となっています。
この取り組みのきっかけは、令和4年度に紀の川市食育推進会議会長の三國和美さんから、郷土料理の大切さや「かきまぶり」の作り方について直接授業を受けたことでした。以来、生徒たちは市の食文化や現代の家庭でも調理しやすいアレンジ方法を学び、地域に伝わる味への理解を深めています。
10月8日には、家庭部に所属する生徒たちを中心に「かきまぶり」の調理実習を実施。完成した料理を前に、家庭部部長の江川泰葉さんは「彩りがきれい。伝統の味が昔から残っているのはとても良いことだと思います。私たちも、この味をしっかり受け継いで、次の世代に残していきたいです」と話してくれました。
また、家庭科教諭の髙井真起子さんは「生徒からは『家で祖母と作った』という声もあり、学びが家庭へ広がっていると感じます。食品をすぐに購入できる便利な時代だからこそ、この学習を通じて郷土料理の大切さに気付き、無理のない範囲で生活に取り入れてほしい。将来、生徒たちが自分の子どもや周りの人に、この紀の川市の味をつないでいってほしいと願っています」と話してくれました
■食の記憶を次の20年へ
郷土料理は、日々の暮らしの中で育まれた「食の記憶」そのものです。私たちがこれから考え、受け継ぎ、そして新しい形で育てていくことで、郷土の味は未来へと続いていきます。
20年後の食卓にも、笑顔とふるさとの味が広がるように――「これからの郷土料理」を一緒に考えてみませんか。
■「かきまぶり」ってなに?
紀の川市の郷土料理「かきまぶり」とは、那賀地域の郷土料理で、四季の野菜などをすし飯に混ぜた、ちらしずしのことです。具は高野豆腐や干し椎茸などが一般的で、錦糸卵や紅生姜などで華やかに飾られます。祝いごとや人が集まるときにたくさん作って振る舞われるほか、昔は田植え休みのごちそうだったそうです。
「まぶり」は、那賀地方で「混ぜる」という意味の方言で、「かき混ぜ」と混ざって「かきまぶり」になったといわれています。
■ふるさとの味にふれてみませんか
紀の川市食育推進会議が発行した、地域で受け継がれてきた料理をまとめた冊子『きのかわ食育メニュー』があります。四季折々の食材を生かした家庭の味や、行事・祝いの料理など、ふるさとの知恵が詰まった一冊です。地域に伝わる味を通して、市の食文化にふれてみませんか。
食育メニューは市ホームページ(本紙掲載コード)に掲載しています。
