- 発行日 :
- 自治体名 : 鳥取県鳥取市
- 広報紙名 : とっとり市報 令和7年2月号
■本市の地域食堂
本市の地域食堂は、平成27年に開始した生活困窮世帯などの子どもを対象とした学習支援事業をきっかけに始まりました。子どもに食事の場を提供する「こども食堂」から、高齢者や生活困窮者などさまざまな人を対象とする食堂へと変わり、地域の人が集い、つながる居場所として「地域食堂」と呼ばれるようになりました。
平成29年には、食堂の運営者や企業・団体、行政が一体となった「鳥取市地域食堂ネットワーク」が設立され、地域食堂の継続的・安定的な運営をより強力に支援するとともに、持続可能な体制の構築を進めています。
■麒麟のまち圏域への拡大
本市を含む「麒麟のまち圏域」では、令和元年から、地域食堂を協力して推進しています。令和4年には、圏域内の地域食堂などへ食品・食材を安定的に提供するため、民間の助成金なども活用して食支援拠点を整備することを確認し、令和5年には、地域食堂を基盤に孤独・孤立対策を推進していくことを決定しました。
現在は中央人権福祉センターを中核拠点として、圏域内の4カ所に拠点を設置し、大型冷蔵庫・冷凍庫、米の保冷庫を配備して食支援を行っています。これらの整備により、令和5年度は毎月約3トンの食品・食材が、地域食堂や母子支援施設、更生支援施設などに提供されました。
■多世代の交流拠点として
麒麟のまち圏域における「地域食堂」は、子どもを中心に地域のさまざまな人が集う居場所、人や社会資源がつながる場として、多世代のみなさんの交流拠点となっています。困難を抱えている人や世帯に関わっていくことを基本としながら、地域の誰もが気軽に行ける「だれでも食堂」として展開しており、4つの要件を持つ「居場所」をつくることを共通認識としています。
■地域食堂の4要件
1.安心して過ごせる居場所であること
2.食育・食文化の観点をもって食を提供すること
3.子どもの学習支援を行うこと、つぶやきを相談支援に引き上げること
4.受け手(利用者)、支え手(スタッフ)の一方向の閉じた取り組みとせず、地域のさまざまな人が関わること
特に本市では、「つぶやき」を支援につなげること、利用者・スタッフといった一方向の関係とせず、地域のさまざまな人々が関わる居場所づくりにつなげることの2点を重視しています。
地域食堂は「誰でも来ていいですよ」と呼びかけているみんなの居場所ですが、悩みがあったり、生活を辛く感じたりしている人も多く集まります。そのような人と関わる中で気になる「つぶやき」があれば、地域食堂のスタッフが受け止め、専門の支援機関につなげる場になっています。また、地域食堂は地域共生社会を実現するための重要な社会資源です。そのために、「支える側」「支えられる側」という関係を超えて、誰もが役割や出番を持てる場になるよう取り組んでいます。今後、地域のさまざまなニーズに対応する地域食堂が展開され、地域課題の解決にも貢献することが期待されています。
■地域共生社会の実現に向けて
本市では、令和4年度から地域食堂事業を基盤にした孤独・孤立対策に取り組んでおり、包括的な支援体制を構築するための重層的支援体制整備事業と連動させる取り組みを行っています。深刻化する孤独・孤立の問題に対応するためには、まずは「つながる」ことが支援の第一歩と考え、生きづらさを抱える人のSOSに気づける人材を養成し、早期支援につなげ、人を孤立させない(ひとりぼっちをつくらない)地域社会の創造を目指しています。
今後は、既に実施している地域食堂事業の成果を活かし、孤独・孤立対策官民連携プラットフォームを構成する団体の拡充や、つながりサポーター養成研修の共同実施、さまざまな事業者などとの包括連携による食支援体制の構築を圏域で連携して取り組み、地域共生社会の実現を目指していきます。