文化 写真家 廣池昌弘(1)

■廣池昌弘(ひろいけまさひろ)さん
〔プロフィール〕
1962年生まれ。
鳥取県立米子東高校、広島大学工学部卒、南部町在住。
写真家・システムエンジニア
1985年 キャタピラー三菱株式会社入社
1992年 土木関連のシステム開発を行う会社を設立
1999年 全国的ホームページコンテストで2位受賞。WEBシステム開発を事業として始める。
2005年 Flash技術による写真表示プログラム等を開発すると同時に写真を本格的に始める。

南部町在住で世界で活躍する写真家の廣池昌弘さんに、写真家になられたきっかけや、幼少期や学生時代のエピソードなどを取材しました。

◆写真家になったきっかけは?
会社を設立した当時は、ホームページが出始めた頃で、フラッシュという技術を使い、いろいろなプログラムを開発していたのですが、2005年から写真を表示し動かすプログラムを開発し、プログラムで使用する写真を自分で撮り始めたのがきっかけです。

◆世界を意識し始めたのはいつ頃?
2015年にオリンパス・オープンフォトコンテストでグランプリをいただき、ナショナルジオグラフィックという世界的な雑誌の写真投稿サイトに投稿するようになりました。そこで、「今日の1枚」に2度選ばれ、そのうち1枚は「今月の10枚」に選ばれました。それから世界のコンテストに応募するようになりました。

◆これまでのキャリアのなかで、特に起点となった作品はありますか?
やはり世界最大のソニーのコンテストで2位を受賞した作品ですね。特にこの1枚(5頁『ヒメボタル』)は世界写真機構のサイトにバナーとして全ページに1年間使用されたこともあり、恐らく私の写真の中で一番、世界的に知られている写真だと思います。

◆南部町で過ごされていた幼少期や学生時代はどんなお子さんでしたか?
小さい頃から釣りが好きで家の近くの川で釣りをしていました。中学の頃に本格的に渓流釣りに目覚めて、大木屋まで自転車で釣りに行っていました。高校生になると体力もついてきて、自転車で30km以上離れた場所まで釣りに行っていました。それから自転車や旅行が好きになり、金沢まで自転車で行った事もありました。大学の頃には自転車で北海道を一周したり、40kgのリュックを背負い北アルプスを一週間縦走したりしました。その頃から、兄のカメラを借りて旅行で出会った景色の写真を撮影していました。

◆写真家として見た南部町の魅力は?
一度、県外に出て戻ってきましたが、写真家として南部町を見てみると被写体がたくさんあるなと思いました。ヒメボタルもそうですし、桜や彼岸花もそう。南部町だけでもこれだけのものがあります。県内を見ると、大山や鳥取砂丘など、身近に被写体や撮影地がいっぱいあるなと思いますね。

表紙『南部町 法勝寺川土手の彼岸花』
本紙2~3ページ『富山県 立山と天の川』

『雪桜』
2015年オリンパス・オープンフォトコンテストで28,450枚の応募作品の中からグランプリを受賞。南部町で撮影された1枚で、国内のフォトコンテストで初めて日本一に輝き、世界を目指すきっかけとなった作品。

『ヒメボタル』
世界で最も権威のあるフォトコンテストとされるSony World Photography Awards 2020プロフェッショナル部門、自然・野生生物カテゴリーで第2位を受賞した9枚組写真のうちの1枚。主催する世界写真機構のホームページのバナーとして1年間使用された作品。

○受賞歴
2015年 オリンパス・オープンフォトコンテスト グランプリ
2017年 National Geographic Best of August 2017(約15万枚中の10枚)
2020年 Sony World Photography Awards Professional”Natural World and Wildlife”2nd place
2020年 5th 35AWARDS”Motion”3rd place
2020年 IPA(International Photo Awards)Professional Nature-Astrophotography 2nd place
2022年 Nature Conservancy’s 2022 Global Photo Contest Wildlife Honorable Mention
2023年 LensCulture Critics’ Choice 2023 winner(Christie’s 写真責任者 Darius Himes 氏選出)
2025年 Smithsonian Magazine Photo Contest “NATURAL WORLD”Finalist

○出版・個展
2019年 写真集「QUEST/探求 第1集」 今井出版
2020年 写真集「HIMEBOTARU」 ちいさな今井
2021年 企画展 鳥取県南部町祐生出会いの館、日南町美術館
2024年 企画展 ポーランド、イェレニャグラ市市営博物館
2024年 「ヤマケイカレンダー2025 知られざる麗しの日本」 山と渓谷社

○審査員
2022年 7th 35WARDS(世界50か国各1人の審査員に選出)
2025年 PSA(The Photographic Society of America)”PID Landscape Competition”