くらし 食べごろ松江~まつえ旬もの食べてごせ~vol.7

海の緑で感じる春「ワカメ」

日本の食卓に欠かせない「ワカメ」。普段から何気なく食べているワカメにも「旬」があります。徐々に寒さが和らぎ、陽気を感じるこの時季、海の中では、ワカメなどの海藻類によって春模様となります。
季節を問わず口にする機会があることから、年中海に生えているものと思われがちなワカメですが、夏ごろには胞子となるため、自然のものを見ることはほとんどありません。その後、秋が深まるにつれて、水温低下とともに発芽し、冬から春にかけて大きく成長したものが収穫されます。
本市では、入り組んだ海岸の地形により、風の影響を受けにくい環境があることから、ワカメ漁が盛んに行われており、しけが多く、漁業が限定されるこの時季には、漁師さんの重要な収入源となっています。ワカメ漁には、天然ものと養殖ものの漁があります。養殖とは、胞子を付けた紐(種糸)を波の穏やかな湾内に設置し、成長したワカメを刈り取る方法で、安定的な収穫が見込めることから、全国的に主流となっており、国内で流通するワカメのほとんどが養殖ものと言われています。一方で、近年では、本市島根町をはじめ、天然ワカメ漁も盛んに行われています。若手漁師が中心となり、天然ワカメの収穫だけではなく、買取、塩蔵加工などが行われ、地域の漁業を支える取り組みとして注目されています。
収穫されたワカメは、生や塩蔵、乾燥の状態で出荷されます。生のワカメは、茶褐色ですが、湯どおしすると、鮮やかな緑色に変わります。これを冷水で締めると、シャキシャキした食感で豊かな風味が味わえます。塩蔵ワカメは、釜茹で、塩漬けされたもので、真水で戻すと生に近い食感と風味を味わえます。長期保存が可能な点も魅力です。乾燥ワカメは、カットワカメのような塩蔵と同じく水で戻すものが一般的ですが、おすすめしたいのは、「板ワカメ」。板ワカメとは、水洗いした生のワカメを、板状にペラペラと薄く、パリパリに乾燥させたものです。そのままでも、砕いてご飯にまぶしても、フライパンで軽く炒っておつまみにしても、そのパリパリした食感と磯の香りを楽しめます。本市を含む山陰地方ならではの特産品なので、お土産にもおすすめです。
さまざまな形で活躍するワカメですが、新鮮な状態でいただけるのは、豊かなワカメの漁場が近くにある地域の魅力です。この地域だからこそ味わえる、この時季の「旬もの」ワカメをぜひ手に取ってみてください。

・塩蔵加工場の様子(本紙の写真参照)。鮮度のいい状態で加工されるため抜群の品質湯どおしされ、鮮やかな緑色に変わるワカメ
写真提供:先島丸 奥広樹氏

・ワカメの根の部分、メカブ。刻むと、粘り気が出て風味が際立ちます。毎年これを楽しみにしている人も多いのでは。(本紙の写真参照)

・おすすめ逸品…板ワカメをふりかけに。食感と風味があり、適度な塩味で白米が進みます(本紙の写真参照)
本紙写真提供:しまねのぢげもん

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