健康 雲南病院だより

■安心して手術を受けるために安心して手術を受けるために麻酔科医からのお願い
麻酔科 診療科部長 木村綾乃(きむらあやの)

「麻酔って薬を使っていつも通り眠っているだけでしょ」とイメージしていませんか。一口に麻酔と言っても全身麻酔・区域麻酔(硬膜外麻酔・脊髄クモ膜下麻酔・末梢神経ブロック)とたくさんの方法があります。実際の医療では手術の内容や患者さん一人一人の状態を総合的に考慮し、時に複数の方法を組み合わせて麻酔管理をしています。ここでは全身麻酔について分かりやすく説明します。

◯全身麻酔とは
全身麻酔とは眠ること(鎮静)、痛みをとること(鎮痛)、体を動かなくすること(筋弛緩)の3つの要素をバランスよく組み合わせて行います。麻酔の薬で眠ると、普段当たり前に行っている呼吸も止まります。自分の力で体中へ酸素を届けることができなくなるため、口から肺につながる気管まで人工呼吸用の管を入れ呼吸のサポートを行います。手術中は進行状況や患者さんの状態を見ながら3つの要素を調整しています。「麻酔=眠る」ということだけではありません。麻酔科医は患者さんがストレスを感じることなく安全に手術が受けられるように全身状態を絶えず見守りサポートしています。
手術が終了したら麻酔の薬を中止し目覚めを待ちます。呼びかけにきちんと応えることができたら人工呼吸の管を抜き全身麻酔が終了します。直後は体に少量の薬が残っている影響で普段よりは眠りが深く、記憶も曖昧な方が多いです。

安全に全身麻酔や手術を受けるためには事前の準備がとても大切です。特に大切なことを紹介します。

◯禁煙をお願いします
タバコの煙の影響で気道や肺の機能が弱くなります。手術中も痰が増え呼吸がしにくくなります。ひどい場合は肺炎を起こします。傷の治りも悪くなると言われています。電子タバコも同様です。受動喫煙も同様のリスクとなりますので身の回りの方で手術が決まったら配慮をお願いします。

◯常用薬を教えてください
普段飲んでいる薬の情報は手術を受ける上でとても重要です。血糖を下げる薬や血液をサラサラにする薬は服用の中止が必要な場合があります。お薬手帳など常用薬が分かるものを持って受診してください。
日常の診療ではこのような説明を手術前に麻酔科医が外来で直接お話ししています。皆さん、とても緊張されていますし、初対面の麻酔科医に質問しにくいのでは、と感じています。安心・安全に手術が受けられるように医師・看護師と協力しています。些細なことでも構いませんので、お会いした時には気軽にご相談ください。