- 発行日 :
- 自治体名 : 岡山県高梁市
- 広報紙名 : 広報たかはし 2025年6月号(248号)
■最近、診察室で気になること「靴をきちっと履こう」
眞壁(まかべ)幹夫(みきお)院長
成羽に赴任して4年目になります。成羽病院では様々な外科系疾患全般の診療を受け持っております。その中で最近気になることが、受診される患者さんの多くが靴をきちっと履いていないことです。屋外で外傷を受傷した患者さんの多くが長靴かスリッパ履きです。
長靴やスリッパを愛用する理由を尋ねると、「靴や地下足袋を履くのは面倒である。」との意見が多く聞かれます。「紐を緩めたり締めたりはめんどくさい。」「履きやすいことが一番。」などの意見が多数です。
しかし、履きやすいは脱げやすいに繋がり、履物としては全くだめな物です。履き心地が良くて脱げにくい靴が最良の履物です。
良い靴とは足首を全周から包み込むように固定出来る靴で、つま先には指でじゃんけんが出来るくらいの余裕が必要です。そのため履くのが少々面倒です。その時は靴べらを使いましょう。
私も最近まで靴の使い方の重要性には注目していませんでした。このため自分でも今までに魚の目、巻き爪、急性腰痛症、足関節の剥離骨折、外反母趾など、一通りの疾患を経験し、今から振り返ると恥ずかしい思いです。
患者の方に、どの様に靴を選んでどの様に履いているかを問診すると、多くの方がネットや通販で買って、靴紐をきちっと締めていない状態で履いて受診されています。また、畑や山での作業時は地下足袋ではなく、長靴の方が多数です。
足に合った靴を、紐を締めて履かないと、靴の中で指や足底の一部が強く圧迫され、また足が前後左右に滑ることで様々な足の疾患が起きます。高齢女性患者の多くは外反母趾や魚の目、爪の肥厚(ひこう)、二~五指の屈曲拘縮(くっきょくこうしゅく)など複数の疾患を認めています。
このため、踏ん張りがきかず転倒の原因となり、大腿骨の骨折や腰椎圧迫骨折に繋がります。
高齢になって転ばない様に、今の内から靴を正しく選んできちっと履くことに注目してください。
問合せ:成羽病院
【電話】42-3111