- 発行日 :
- 自治体名 : 山口県下関市
- 広報紙名 : 市報しものせき 令和7年11月号
■高校生議会 提案実現チーム「下関北高 廃コン’s」
高校生の「廃校を活用して婚活イベントを」の一言が地域の大人たちを動かした世代を超えた共創が、地域の未来に光を灯す
●高校生議会での提案がまち協との共創で実現
▽若い一言が発端
「めっちゃ緊張しました」。昨年12月の高校生議会で、下関北高3年の有田克由さんは、初めて市議会の議場に立ちました。そこで「廃校を婚活イベントに活用する」というアイデアを発表。講評で副市長から「良い着眼点」と評価されて、有田さん自身も手応えを感じたといいます。
この提案を思い付いたきっかけは、電車に乗った際に感じた「人が少ない」という違和感。調べるうちに空き家や廃校の現状を知り、「せっかくなら楽しいことを」と婚活イベントを組み合わせることを考えました。
この「若い一言」を聞き逃さなかったのが、豊北地区まちづくり協議会でした。
▽世代を超えた共創
「やりたい!」。高校生が声をそろえたのは、まち協から「一緒にやろう」と誘われた時。打ち合わせで、高校生が考えた「学校の時間割になぞらえたプログラム」を披露。大人たちは宣伝、資金面を支え、二人三脚で企画を練り上げました。
高校生たちは、参加者の動線や交流をどう演出するかを中心に企画を担当。まち協は、資材調達や婚活情報サイトへの情報掲載など、実務を担いました。互いの得意を生かすうちに、世代を超えた信頼関係が築かれていきました。
8月31日、旧阿川小学校で迎えた当日。参加者は14人。高校生は、校長、教員役に。教室では、1時間目・自己紹介、2時間目・学活(いす取りゲームなど)、3時間目・図工(ゴム鉄砲作り)、4・5時間目・文化祭(射的ゲームなど)、6時間目・体育(スイカ割り)まで、まるで「大人の学校」のような一日が展開しました。
「前日まで不安でいっぱいでしたが、参加者が楽しそうにしている姿を見て、うれしくて無我夢中でした」と有田さん。下関北高3年の永富凛さんも「当日は、恥ずかしさよりも、楽しさが勝ちました」と振り返ります。
▽地域の化学変化
イベント参加者への事後アンケートには、「高校生のパワーに感動した」「また参加したい」とありました。裏方を支えたまち協のメンバーも「大人にはない斬新な発想でした。廃校活用の確かな一歩になった」と手応えを語ります。
廃校舎は、耐震性がないなど課題が残るものの、使われなくなった校舎が再び笑い声で満ちた光景は、多くの人の心に刻まれました。有田さんも「地域課題に関心を持つきっかけになりました。将来は、地域課題に携わる進路を考えたい」と、未来を見据えます。
「高校生の提案力と、大人のフットワークが合わさると、こんなに早く実現できる」と豊北地区まちづくり協議会会長の妻崎和雅さん。世代を超えた挑戦は、次なる地域の活性化への期待を高めています。
▽下関北高の生徒会執行部のメンバー。
有田克由さん(前列中央)が、高校生議会で提案した内容を実現することに。
・ラジオでイベントをPR。出演したのは、豊北地区まちづくり協議会会長の妻崎和雅さん(左)、有田さん。
・企画をした高校生たちは教員としてイベントに参加。有田さんは、校長先生としてあいさつ。
・文化祭の時間。図工の時間で作ったゴム鉄砲を使った射的ゲームやスーパーボールすくいなど、笑い声が絶えない楽しい時間となった。
