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■美波町を含む徳島県南部地域の官民連携で取り組む「樵木(こりき)林業」が日本農業遺産※1に認定
この度、徳島県南部地域の徳島県、美波町、阿南市、牟岐町、海陽町および複数の民間団体で構成された「とくしま樵木林業推進協議会」が申請した「みなみ阿波の樵木林業システム―照葉樹林に育まれた里山、里海の物語―」が、日本農業遺産に認定されました。

▼樵木(こりき)林業とは
照葉樹林(カシ、シイ等)を対象に、特定の太さに生長した木のみを伐採し、細い木は残す「択伐矮林(たくばつわいりん)更新法」を用いた伐採方法で、残された木々が生長しやすい環境を整えます。また、その後に切り口周辺から芽が出て育つ「萌芽(ほうが)更新」の手法を採用しています。高い生産性、品質の均一化に優れているなどの特徴があり、かつ森林の生態系維持や土壌保全にも優れた希少な伐採方法です。
従来の樵木林業では伐採周期が8年~12年でしたが、現在では太い木の需要もあることから、20年~30年の周期で伐採を行うこともあります。

▼歴史
徳島県南部地域の森林は、江戸時代より常緑広葉樹林が地域の大部分を占めており、豊富な資源を利用して薪や炭を生産し、地域経済に貢献していました。樵木林業には約350年の歴史があり、室町時代には阪神地域(現在の和歌山市~西宮市)の港に出荷されていた記録が残っており、薪が地域の林産収入のなかで最大の品目であったとされています。炭についても白炭や黒炭が生産されていたと記述が残っています。
現在は白炭(備長炭含む)や薪、シイタケ菌床、生しいたけが樵木林業の商品となっています。

▼環境への影響
多様な樹種で構成される森林は、豪雨による土砂流出の抑制や、強風による根起こりへの耐久性向上、さらには魚付き林の保全など、地域の生態系や里山、里海の保全に寄与しています。

※1…日本農業遺産は、世代を超えて継承され、社会や環境に適応しながら発展してきた伝統的な農林水産業と、それに関連する文化、景観、生物多様性などが一体となった地域を、農林水産大臣が認定する制度です。地域固有の農林業の価値を未来へ継承することを目的としています。(※農林水産省公式サイトより)
詳しくは、農林水産省公式サイトよりご覧ください

▼美波町内での取り組み紹介・コメント
▽樵木林業研究会・会長 谷崎栄之
私が赤松で生まれた頃(1955)は、炭と薪で命を繋いでいました。灯油がない時代で、冬は囲炉裏や火鉢に炭をくべて暖をとり、風呂は裏山から切り出した薪でわかしていました。1950~60年代の石炭から石油へのエネルギー革命の時代まで、山にあるエネルギー源をうまく活用していたのが「樵木林業」でした。
「海部の樵木林業」が2017年日本森林学会から日本林業遺産に認定され、この度「みなみ阿波の樵木林業システム」が2025年農林水産省から日本農業遺産に認定されました。「樵木林業」が日本の未来を支えるエネルギーシステムであり、日本を代表する貴重な価値であることが認定されたのです。
再び「樵木林業」が美波町の活性化に貢献し、私たちの暮らしが炭と薪の力で豊かになることを期待しています。

▽株式会社四国の右下木の会社
当社は2021年の設立以来、美波町伝統の「樵木林業」の再興に取り組んでいます。美波町の里山は、長い歴史の中で地域の暮らしや文化を育んできた「地域の宝」です。しかし、現在その価値が十分に活かされておらず、里山の荒廃が進行しています。当社は、樵木林業で伐採した木材を活用し「樵木備長炭」や「樵木薪」の製造・販売することで、「地域の宝」を再び活用し、里山の環境を回復させるとともに、持続可能なまちづくりの実現を目指し活動しています。
環境回復の重要性が高まり、里山の価値が再評価されつつある今こそ、美波町発祥のこの技術と思想を全国へ広めていくべきだと強く感じております。私たちは、地域の未来を守り、次世代へ価値ある里山を引き継ぐため、今後も引き続き努力を重ねて参ります。

問い合わせ:
記事に関して…役場政策推進課【電話】0884-77-3616
樵木林業や農業遺産に関して…役場産業振興課【電話】0884-77-3617
とくしま樵木林業推進協議会事務局(徳島県南部総合県民局農林水産部美波庁舎)林務担当【電話】0884-74-7485

■株式会社テレコメディア様と地域貢献に関する包括連携協定を締結しました
3月5日、美波町役場で、(株)テレコメディアと災害時における業務支援や情報発信、SDGsの推進等に関する包括連携協定を締結しました。
この協定では、美波町と(株)テレコメディア様の相互の資源を活用した、災害時での業務支援や平時での安全・安心の確保、地域に密着した情報発信やイベント、SDGs推進の事業等で連携することで、持続可能なまちづくりを実現することを目的としています。町長は「専門的な知識をお借りしながら、もしもの災害時での対応や平時における美波町の発展に協働で取り組みたい」とコメントされました。