- 発行日 :
- 自治体名 : 徳島県美波町
- 広報紙名 : 広報みなみ 2025年5月号
■休館中1日限りのミニ企画展
阿南市文化会館にて、第172回直木賞を受賞された小説家伊与原新さんの講演会が行われました。講演では、伊与原さんが科学者から小説家に転身する過程、「藍を継ぐ海」の他、これまでの執筆作品の着想となった出来事や人物、その背景となった地を伊与原さん自身が取材した際の印象など、作品を読んだだけでは伝わり難いお話が聞けて非常に興味深い内容でした。一方で、小説家の「講演会」は博物館の「企画展」に似ていると感じました。以前にもお話ししましたが、博物館はそれぞれの「目的」に沿って「調査、研究」を行い、得られた資料を「展示」して「来館者」に見て頂きます。小説家の「読者」は博物館の「来館者」、小説家の「着想」は博物館の「目的」、小説家の「取材」は博物館の「調査、研究」に通じ、小説家の「執筆作品」は博物館の「展示」と同じです。そして、小説家が「講演会」などで、執筆のために行った「取材」を元に、「執筆作品」の裏側を紹介することで、「読者」は新たな気づきや感動を受けます。つまり、小説家の「講演会」とは、博物館で普段は「展示」していない資料を「企画展」として「来館者」に見て頂き、新たな情報として提供することと同じ意味があると感じました。今回、伊与原さんの講演会を主催された一般社団法人阿南市観光協会様のご配慮で会場の一角にカレッタのPR用ブースをお貸し頂きました。そこで、「藍を継ぐ海」に登場する「アカウミガメ(剥製)」、「子ガメ(模型)」、生態調査に使われる標識や様々な道具を並べて解説したことで、小説の背景となるウミガメの調査活動を紹介する小さな「企画展」になったのではと考えています。1日限りではありますが、本来の博物館業務に近い活動が出来ました。今回は準備不足ではありましたが、カレッタがリニューアルオープンした後も、様々な「企画展」を準備して常設の展示を補いたいと考えています。
館長:平手康市
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〒779-2304徳島県海部郡美波町日和佐浦369うみがめ博物館カレッタ「質問係」
■Question
化石のカメがどの様に生きていたのか、どうして判るの?
■Answer
化石になったカメの骨格と現代に生きている様々な種類のカメの骨格を比較して、似ている形の骨格を持つカメの生態を参考にします。また、同じ地層から一緒に見つかる別の生き物の化石やその地層のでき方など、様々な情報を参考にして推測しています。