- 発行日 :
- 自治体名 : 香川県
- 広報紙名 : みんなの県政 THE かがわ 令和7年4月号
◆株式会社エスシーエー
【住所】丸亀市土器町東7丁目754
創業:1991年
従業員数:8人
【電話】0877-22-3110
【HP】https://jp-sca.com/
さまざまな製造現場で製品の品質を守る「検査」。AIを駆使した高度な検査ユニットを世に送り出し、まだまだ新しいものを追求し続ける香川のものづくり企業を紹介します。
■AI画像処理による高度な検査技術 ロボット制御と併せて省人化を推進
◯機械を速く正確に動かす「頭脳」をつくる
「我々の技術の粋(すい)はこれに詰まっているんです」株式会社エスシーエーの創業者で代表取締役会長の内田啓治(うちだけいじ)さんが指し示すのは、極小のコンピューター「マイコン」。内田さんはマイコンが登場したごく初期から、いち早く研究を深めたエキスパートです。同社はマイコンへ高度なプログラムを入力することで、機械を速く正確に動かす「頭脳」となる製品を作り出してきました。
同社初の開発は「ネジ検査機のマイコン制御」。超高速で流れるネジ1本1本をセンサーでチェックして良否を選別するプログラムを搭載し、それまでにない精密な検査を実現しました。
それ以降も、同社は工場の製造現場などで使われることが多い高度な「画像検査」の分野で強みを発揮してきました。日本や世界で特許を取得した技術も少なくありません。
◯時代は人工知能(AI)へ
一方で、電気・情報分野は目まぐるしく進歩する世界。近年は製造現場にもAIが活用され始めています。同社もそうした需要に応えるべく、AIによる画像検査の開発に注力しています。
非AIによる従来の画像検査との違いは、例えば、「パックの中にエビが5尾入っているかどうか」を画像で自動判定する場合、従来の画像検査ではエビの大きさや上下左右の向きといった微妙な個体差による見た目の違いを処理できず、人間が見れば一目で5尾入っているとわかるものも「入っていない」と判定するケースがありました。
AIはそうした個体差に惑わされず、複数のエビの画像を学習させることにより、胴体や頭の形、ひげといったエビの「特徴」そのものをとらえて、より人間に近い判定が可能となります。
さらに、OK例とNG例の両方をAIに学習させることで、「エビの殻がはがれているものを検出する」といった更に詳しい検査にも対応できるようになり、検出精度が大幅に向上しました。AIに学習させる内容次第で、「ミックスナッツのナッツが各種何個ずつ入っているか」「100個以上のパーツからなる車のエンジンに不良がないか」といった詳細かつ具体的な検査ができます。
◯AI画像検査から発展 協働ロボットの制御も
また、製造現場では作業者が隣で安全に作業できる「協働ロボット」の需要も高まっており、今では車の製造現場から食品工場まで幅広い分野のものづくりを支えています。
同社はAI画像検査とともに、こうした協働ロボットのプログラム制御にも力を入れています。例えば、AI画像検査で「OK/NG」を判定した後、NGのものは協働ロボットを使って除外することで、多くの検査工程を省人化することができます。
また、同社は受注開発だけでなく、パッケージ化した商品の販売にも取り組むこととしており、最近では高度なAI画像処理ユニット『AIナビ エッジビジョン』を開発しました。
同社が今後注目している事業は、ものづくり現場に点在するベテランの経験と感覚による、いわゆる「職人技」をAIで解析してモデル化することです。
「AIには、ものづくりの環境を的確にコントロールできる力があります。少子化や現場作業者の高齢化でますます人材が少なくなる流れの中で、優れた技を次の世代に伝えていくヒントになると思います」と内田さん。これまで取引先と密なコミュニケーションを取りながら受注開発を手掛けてきた同社。「うちにしかできないユニークなものづくりで勝負したい」と、期待を込めて語りました。
◎同社は経営層を含めたメンバー8人中6人が技術者(右端が内田会長)
◎それぞれの得意分野を生かすものづくりの現場
◎薄いシート状の物を検査する場合、上下から複数のカメラで自動撮影。非AIによる画像検査と、AIによる画像検査を組み合わせ、傷や凹凸など精度の高い検査を実現。「NG」であれば、奥にあるアームロボットがラインから除外する。同社はAIによる画像検査の処理と、連携する協働ロボットの制御を強みとしている。(シミュレーションの様子)
◎2023年の「第26回関西機械要素技術展」に出展した時の様子。ロボットにセンサーを持たせ、立体物の組付けの状態を検査。同社が得意とする、AIによる画像検査は従来ではできなかった検査を可能にする。
◎AIナビ エッジビジョン
※詳細は広報紙8・9ページをご覧ください。
問い合わせ先:(公財)かがわ産業支援財団 取引支援課
【電話】087-868-9904