- 発行日 :
- 自治体名 : 愛媛県今治市
- 広報紙名 : 広報いまばり 2025年5月号
■災害リハビリテーション
今治市医師会 田中 宏明
災害リハビリテーションとは、災害時の「生活不活発病」や「災害関連死」を防ぐために、リハビリテーション医学・医療の視点で支援することです。
能登半島地震では災害関連死は307人、直接死も含めた死者は535人です。「災害関連死」は、被災者が疲労やストレスによる心不全、避難所におけるエコノミークラス症候群(深部静脈血栓症)など、災害による直接的な死ではなく、怪我やその後の生活で死亡することです。
一般社団法人日本災害リハビリテーション支援協会(JRAT/Japan disaster rehabilitation assistance team)は、平時から災害に立ち向かう仕組みづくりに寄与し、発災時には支援チームを発足させ、被災者・要配慮者の生活不活性発病や災害関連死等の予防に関する適切な対応を可能とし、被災者が早期に災害を乗り越え、自立生活を再建、復興できることを目指し、活動しています。災害発生直後、「避難所の住環境の評価」、「動きやすい居住環境のアドバイスや応急的環境整備」など行います。避難所支援物資を適切に選定し、ベッドの設置など支援します。復旧期は、リハビリテーション支援を通して生活不活発病の予防にあたります。避難所や施設での生活は、生活不活発病となりやすい環境です。その後(復興期)は、地域リハビリテーションの支援を継続します。
愛媛では、一般社団法人愛媛県災害リハビリテーション支援協会(愛媛JRAT)(14団体加盟)があります。リハ療法士以外に、医師、歯科医師、看護師、社会福祉士など多職種からなるチームで、熊本地震や西日本豪雨災害、能登半島にもチーム派遣しました。平時から県や地域の防災訓練などに参加し、今後の南海トラフ地震にも備えて活動しています。
※このコーナーの記事は今治市医師会広報委員会のご協力によるものです。