くらし 令和7年 第1回定例会(3)

次に、上島町の令和7年度の当初予算についてですが、来年度も人件費の増加や物価高騰による影響を大きく受ける状況になっています。
その編成に当たっては、将来的な人口減少対策を進めながら、交流や観光、DX(デジタル・トランスフォーメーション)や地方創生など、新たな行政課題への対応や将来に渡って持続可能なまちづくりに向けた取り組みを行う必要があります。
これらを踏まえ、上島町の一般会計当初予算の総額は74億4700万円と、前年度と比較して1億1500万円、1・6%の増となりました。
特別会計と企業会計を含めた町全体の予算総額については、115億9600万円と、前年度と比較して6700万円、0・6%の増となりました。
歳入では、歳入総額の約5割を占める地方交付税が、国の地方財政対策および前年度実績から35億5900万円で前年度比2億3300万円、7・0%増と見込みました。
一方歳出では、人件費、扶助費、公債費を合わせた義務的経費が、30億5800万円で、前年度比600万円、0・2%の増となりました。公債費については、減少傾向にありますが、人件費については、職員数は減少したものの、人事院勧告にともなう給与改定の影響等により増額となったことによります。
新規および重点事業としては、
・対象地域住民の移動手段の確保と、交通利便性の向上を図る『デマンド交通導入事業』
・子育て支援策として、年齢、所得などに関わらず、全ての子どもを対象に保育料を無償化とする『保育料無償化事業』
・人口減少対策として、愛媛県と連携し各種事業に取り組む『えひめ人口減少対策総合交付金事業』
・長寿命化計画に基づき、ごみ処理施設の更新を行うことにより、施設の延命化を図る『上島クリーンセンター基幹的設備改良事業』
・上島町唯一の県立高等学校である弓削高等学校の存続へ向け、県外からの留学生を確保するための『弓削高等学校学生寮運営事業』
・魚島小中学校の存続、および地域の活性化を図るための『魚島離島留学事業』などを提案しています。
このように、上島町が将来にわたって持続可能な行政運営を行っていくため、「先憂後楽」と「アイランド オブ ドリームス」の精神を忘れず、今後も更なる行財政改革を推進するとともに、新たな財源の確保、事業の見直し、公共施設の統廃合などに取り組んでまいります。
結びに、今年は戦後80年、そして昭和の元号で100年に当たる節目の年であり、これまでの上島町の歩みを振り返り、これからの新しい上島町を考える年にしなければならないと考えています。
その節目の年に、脳科学者として有名な茂木健一郎先生の講演を聞かせていただく機会がありました。初めは先生が専門とする人工知能の話であり、「AIにより人間の仕事が奪われるのではないかとの意見があるが、日本は悪いポジションではない。日本人はシステムを作るのは得意ではないが、人間的なペーストを乗せるのは得意である。」という内容でした。
しかし、私たちに熱弁されたのは、「将来人間は人工知能に置き換えられる」ということではなく、「何のために生きているのか」という人間力の大切さでした。
「人間は『生きがい』のため働いており、人工知能には『生きがい』はない。今、AIの世界でも『生きがい』が注目されている。『生きがい』とは他人からの評価ではなく、自分のための喜びである。」という言葉に、長年感じてきた疑問の答えを明確に見つけることができました。
私の『生きがい』は「みんなを笑顔にすること」であり、政治家としての苦労の必然性も目から鱗が落ちるように見えてきました。
今後も上島町民のため、私の『生きがい』を追求してまいりますので、町民の皆さまの変わらぬご理解とご協力をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

上島町長 上村俊之