子育て 〔特集〕中学校部活動はどう変わる? 内子式・地域移行(2)

■子どもたちが輝ける場を残していくために― 地域移行のイマ
拠点校部活動が始まった部では、子どもたちにどんな変化が生まれているのでしょうか。4つの部活動の今の取り組みについて、それぞれ指導者と部員の皆さんにインタビューしました。

◆女子バレーボール部(拠点校:五十崎中)
◇互いに刺激を受け合いチームとして成長したい
五十崎中女子バレーボール部顧問 阿部純奈(じゅんな)さん

昨年夏から内子中の生徒も一緒に練習しています。日々、試合形式ができ、切磋琢磨しながらみんなで上達しようという意識が見られます。部が掲げるのは「全員バレー」。練習も試合も、みんなが一つになって臨みます。失点して雰囲気が沈んでも、周りから自然と掛け声が出るなど、「OneTeam(ワンチーム)」になってきていると感じます。
学校生活の頑張りを含めて選手を見るのも大切。指導者としても両校で情報共有しながら、試行錯誤が続きます。まだまだ発展途上ですが、みんなの意識を高めて、チームとして成長できればと思います。

大久保はなさん(五十崎中2年)[妙見町]

毎日違うペアで練習したり、積極的に声をかけたり、コミュニケーションを大事にしています。新チームでは練習前、全員で手をつないで歌うことに。声を揃えると「一緒に戦っている」という一体感を感じます。キャプテンとして率先して声を出し、チームを一つにしていきたいです。

◆吹奏楽部(拠点校:内子中)
◇音楽の楽しさを知る場所を残してあげたい
内子中吹奏楽部指導員 谷口利光(としみつ)さん

元教員で、当時のつながりから吹奏楽部の指導員をしています。限られた練習時間の中、まずは基礎固めに重点を置いています。現在の部員は13人、少人数で目が行き届くのは利点です。大勢の音色が重なる面白さも知ってほしくて、町民楽団との合同演奏に参加しました。披露した曲『星の船』は、心の揺れに合わせて音色も揺れていく、音楽の大切さが詰まった作品。大人の演奏を聴き「こんな音を出せばいいのか」と感じてくれたでしょうか。少子化の今、内子の地域移行は実態に合った形だと思います。やりたいことをできる場が残り、音楽の楽しさを知ってもらえたらうれしいです。

上野星斗(きらと)さん(小田中1年)[吉野川]

昔からクラシックをよく聴いています。担当のテナーサックスは難しいけれど、だんだん音が出せるようになり、楽しくなりました。本番が近づくと楽器を持ち帰って練習することも。小田中だけではできない音楽ができてうれしいし、いろんな人と出会えるのも、拠点校の魅力です。

◆新 総合スポーツ部(拠点校:内子中)
◇子どもを成長させるスポーツの無限の可能性
フィットネスクラブRyuow(リュウオウ) 嶋本亮介(りょうすけ)さん

バスケや水泳、ダンスなど、内容を1、2カ月ごとに変えて体を動かしています。他の運動部と違い、自分たちの特別ルールを考え、まずは楽しむことから。他にもスポーツに関するイベントのボランティア、スポーツごみ拾い、不要品回収など、活動は多岐にわたります。
部活動の意義は、子どもの成長につながること。多くの経験からスポーツの可能性を知ることが大きなねらいです。この部には目標となる「大会」がないので、今後は活動を発表できる場も必要ですね。生徒たちにとって自分を成長させ、自己表現ができる居場所になっていることを、皆さんに知ってほしいです。

石岡信之介(しんのすけ)さん(大瀬中1年)[本町2]

クラブで続けている野球以外に、いろいろ体験したくて入部しました。知らない競技も教わるし、リクエストもします。目隠しでゴールを狙う「ゴールボール」は難しくて新鮮。バドミントンの動きは野球にも役立つなど、発見があります。体を動かしたい人はぜひ見学に来てください。

◆新 総合文化・科学部(拠点校:五十崎中)
◇指導者は地域の皆さん人との関わりから学ぶ場
コーディネーター 石尾真由美(まゆみ)さん

太鼓や神楽といった伝統芸能、写真、科学などを幅広く学ぶ部活動です。指導者は地域の皆さん。保護者から「一緒に参加したい」と声があるほど本格的です。
さまざまな挑戦に日々、成功と失敗の繰り返し。その経験もきっと、子どもたちの将来に役立つはずです。最初は太鼓の音が苦手だった子が徐々に参加できるようになり、みんなの音がそろい始める――そんな彼らの感性に触れ、成長を見られるのは大きな喜びです。保護者とも連携を深めて、皆さんの協力で歩みを進めていきたいです。たくさんの人が関わる中で、子どもも大人も学べる場になればと思います。

𠮷田凪沙(なぎさ)さん(内子中1年)[内子8]

小学校でも習った太鼓をやりたくて、この部を選びました。内容は写真や水生生物調査など意外なものも。立川神楽の体験では、本番で使う紙しで垂を作ったり、舞を教わったり。貴重な経験ができています。ものづくりも好きなので、五十崎の和紙で何か作る活動もしてみたいです。

◆皆さんで頑張る中学生を応援しましょう
今回、紹介した以外にも、新しい取り組みを始めていたり、単独校として引き続き活躍していたりする部もあります。地域移行に向けた取り組みは今後も続きます。子どもたちが輝き続けられるよう、ぜひ皆さんの応援をお願いします。

問合せ:内子町教育委員会 学校教育課
【電話】0893-44-2124