- 発行日 :
- 自治体名 : 高知県仁淀川町
- 広報紙名 : 広報によど川 2025年1月号
■「救えるはずの命を救う!」
語り継ぐ「稲むらの火」~南海トラフ巨大地震の実話が伝える災害の記憶~(2)
古くから津波に脅かされてきた紀州の広村(現在の和歌山県有田郡広川町)は湾の最深部に位置するため、古くから津波で甚大な被害を受けてきました。
室町時代に海岸に石垣が作られ、津波被害を防いできたものの、1707年の宝永地震では1,000戸ともいわれた家屋のうち850戸が失われるという壊滅的な被害を受けました。壊れた石垣は修復されるものの再び破損。
そこで村人たちは度々、石垣修復の嘆願書を藩に提出しましたが、財政的な問題で修復はなかなかされませんでした。
○一村の逸話に終わらなかった「稲むらの火」
稲むらに火を付けた濱口梧陵のエピソードは一村の逸話では終わりませんでした。
1896年に起こった明治三陸地震をきっかけに、大阪毎日新聞が濱口梧陵のエピソードを掲げ、当時神戸の新聞記者だった小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)に知られることとなりました。
このエピソードに感激した八雲は、濱口梧陵を主人公にした物語「A Living God(生ける神)」を作っています。そして、地元にもこのような偉人がいることを八雲の作品から知った和歌山県の一教員が小学生にも分かりやすい話として改作し、文部省の教材募集に応募します。
こうして「稲むらの火」は1937年から約10年間、全国の尋常小学校の国語読本に採用され、戦前に小学校教育を受けた人々の防災の啓発に役立ちました。
問い合わせ:仁淀川町役場総務課危機管理室 防災アドバイザー 西森冨士夫
【電話】35-0111