文化 直方の歴史と文化(第120回)

■最終回 直方の炭鉱の歴史
第12回 直方の炭鉱関係文化財

直方市内に残る多くの炭鉱関係文化財のうち、簡単に見学できるものを紹介します。

一.炭鉱関係文化財の公開展示施設
○直方市石炭記念館本館
「旧筑豊石炭鉱業組合直方会議所」として建設され、屋外の「救護練習所模擬坑道」と共に国指定史跡。
本館と新館に貴重な炭鉱関係文化財が多数展示されている。
休館日は毎週月曜日(祝日の場合は開館)と年末年始12月29日~1月3日)

○石炭輸送に活躍した蒸気機関車
石炭記念館の屋外に貝島炭鉱のドイツ製コッペル機関車と国鉄のC11型機関車が展示されている。

○坑夫像
石炭記念館の入口前にある。かつては炭鉱都市直方のシンボルとして直方駅前に設置され、遠賀川河川敷に移転後に現在地へ。

○福岡県立筑豊高校特別資料室
頓野の同校校舎内にあり、筑豊石炭鉱業組合が筑豊鉱山学校に寄贈した貴重な教材や鉱物標本、炭鉱写真などを中心に展示している。
開館日は第1・第3日曜日の午後1時〜4時まで。

二.炭鉱殉職者の慰霊碑
○貝島炭鉱遭難者招魂碑
古町の圓徳寺(浄土真宗本願寺派)境内の本堂に向かって右側にある。

○新入炭鉱 火災記念碑
下新入の長安寺(浄土宗)の本堂裏の高台の墓地内にある。

○新入炭鉱 悉皆成仏塔(しっかいじょうぶつとう)
火災記念碑のすぐ近くにある。

三.炭鉱主関係の文化財
○貝島一族
・貝島太助寄進の直方最大の鳥居と麻生太吉寄進の灯籠が多賀神社の北側の鳥居の登り口に並んでいる。
・山部の雲心寺(臨済宗大徳寺派)の墓地の一角に貝島一族の広大な墓所があり本家・分家の石碑が並ぶ。
・殿町の多賀町公園は貝島太助が建てた三階建ての豪邸の跡地である。公園内の太助の銅像の作者は長崎市の平和記念像の北村西望。雲心寺の墓所入口にも太助銅像がある。
・多賀神社の殿町側の宝永の鳥居の右側に貝島一族の寄進石碑が並ぶ。

○堀三太郎
・新町の直方歳時館は堀三太郎が寄進した邸宅である。
・雲心寺墓地の広い敷地に堀家と生家の瓜生家の累世塔が並ぶ。
・多賀神社の宝永の鳥居の左側に寄進石碑がある。

○武内禮蔵
上頓野公民館前の公園内に銅像がある。日本石炭鉱業連合会会長として政府と交渉した。
銘板の揮毫は吉田茂元総理大臣、碑文の執筆が有名作家の尾崎士郎。

○野上辰之助
頓野の直方スイミングスクール野上の植込みに胸像がある。
野上鉱業の創業者で直方商工会議所初代会頭などの公職を務めた。

■連載を終えるにあたって
2015年4月号から郷土史家の舌間信夫先生の後を引き継いで、早10年が経ちました。120回の連載で、伝えたかった直方の歴史を一通り、執筆することができたため、筆をおく決断をいたしました。
長年、ご愛読いただいた市民の皆様、執筆の機会を与えていただいた市職員の皆様に心から御礼申し上げます。

文 榊 正澄

文化財に関する問合せ:文化・スポーツ推進課社会教育係
【電話】25-2326