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〔テーマ〕肝炎の検査について
飯塚市立病院 臨床検査室
臨床検査技師 城野(じょうの) 美咲(みさき)

肝炎とは、肝臓の細胞が破壊されている状態であり、その原因はウイルス性、アルコール性、脂肪性、自己免疫性等に分類されます。肝炎に罹患した方の多くが、B型肝炎ウイルス又はC型肝炎ウイルス感染に起因しています。ウイルス性肝炎は、適切な治療を行わないまま放置すると慢性化し、肝硬変や肝がんといったより重篤な疾病に進行するおそれがあります。
肝炎ウイルスのキャリアは、B型が少なくても約110万人、C型は約90万人いると推定され、肝炎を発症している患者さんは、B型が約19万人、C型が約30万人と推定されます。全国の肝がんの75歳未満年齢調整死亡率(※)では、福岡県は全国順位3位(令和4年)と高い状況です。
最近では新薬の開発により、高い確率で肝炎ウイルスの排除が可能になりました。しかし肝炎ウイルスに感染していても自覚症状がなく、検査を受けていない方が多数存在すると推定されます。ウイルス性肝炎の早期発見には、肝炎ウイルスの検査を受けることが重要です。検査を受ける方法として保健所が委託する医療機関での無料検査(所定の要件あり)や、妊婦健診検査での肝炎ウイルス検査があります。さらに医療機関では、手術前等に行われる肝炎ウイルス検査の結果を踏まえた受診や治療のフォローアップの推進も行っています。
最後に肝炎ウイルスに対する知識のない方や、感染に気づいても早期の治療をためらう方もいらっしゃると思います。肝炎の感染者が早期に感染を発見し、早期に治療を受けられる環境を作るために事業者及び保険者の皆様のご理解、ご協力をお願いします。そしてまだ検査を受けていない市民の方は、この機会に是非肝炎ウイルス検査を受けましょう!
(※)年齢調整死亡率とは、年齢構成の異なる地域間で死亡状況を比較できるように、年齢構成を調整した死亡率です。

※飯塚市立病院よりお願い
・初診の方は、かかりつけ医より紹介状を持参していただくようお願いします。
・正確な薬剤情報や特定健診情報を取得・活用することができる、マイナ保険証の利用にご協力をお願いいたします。