- 発行日 :
- 自治体名 : 福岡県飯塚市
- 広報紙名 : 広報いいづか 令和7年10月号
●胃カメラのススメ
飯塚市立病院 外科部長
消化器内視鏡専門医 良永(よしなが) 康雄(やすお)
「最近、食欲がない。食後におなかが痛い。むかむかする。また、胃が悪いようだ。薬局で胃薬を買うか…」よく聞く話ですが、それでいいのでしょうか。お求めになった市販薬には、症状が続くときは医療機関を受診してくださいなどの文言がきっと書いてあります。「もしかして、重大な病気ではないですか。」…と申し上げると、「ひざの痛みで、毎月病院にかかっています。だから、大丈夫!」そう、おっしゃる方もいます。
おっと、その病院で、最近胃カメラの検査を受けていますか?胃の病気は、視触診や聴診、X線、血液検査、血圧測定などでは、わからないことがほとんどです。担当の先生へ「胃が悪い」とはっきり伝えて、胃カメラを受けないとわからないかもしれません。
さらに、胃の病気は自覚症状のないことも少なくありません。例えば、ひざや腰の痛みなどに使われる痛み止めの多くには胃潰瘍(いかいよう)の副作用があり、悪くすると胃に穴があいて命にかかわります。ところが、痛み止めであるがゆえに胃潰瘍の痛みがわからず、ある日突然!…ということも。糖尿病をお持ちの場合も痛みを感じにくいことがあり、同様に危険です。ほかにも、胃がんや食道静脈瘤(じょうみゃくりゅう)は、放っておけば命に係わる病気ですが、多くは進行するまで自覚症状がありません。胃がんは、飲酒、喫煙をされる方や肥満の方、糖尿病の方、「ピロリ菌」に感染している方に、食道静脈瘤は肝硬変の方に起こりやすいとされます。
「ピロリ菌」は、胃がんや胃潰瘍を引き起こす病原体で、井戸水や汚染された水の飲用などで知らない間に感染します。これは胃カメラや血液検査などで診断します。しかし、ピロリ菌は薬で除菌できますので、除菌により胃がんの危険性は低減できますが、その後も引き続き注意が必要です。胃カメラは病気の早期発見、早期治療にとても効果的です。ぜひ定期的な検査をお勧めします。
もし、これまで申し上げたことにお心当たりがある方は、胃カメラについてかかりつけ医へご相談されることをお勧めします。なお、胃カメラは、正式には「上部消化管内視鏡検査」と呼びます。
※飯塚市立病院よりお願い
・初診の方は、かかりつけ医より紹介状を持参していただくようお願いします。
・正確な薬剤情報や特定健診情報を取得・活用することができる、マイナ保険証の利用にご協力をお願いいたします。
