- 発行日 :
- 自治体名 : 福岡県行橋市
- 広報紙名 : 広報ゆくはし 令和7年6月号
■2 市役所の準備を知っておく
「市役所は何をしてくれるか」を事前に理解しておくことで、混乱を避け、的確に行動することができます。
市役所が調達する備蓄品は、(1)発災直後の生命維持や生活に最低限必要な食料・飲料水・生活必需品などの物資、(2)避難所の運営に必要な資機材、(3)赤ちゃんや高齢者・障がい者など、災害時に要援護者となる方と女性の避難生活に必要な物資、などです。そして、その量は避難者の「発災から3日分」となっています。市役所が想定している避難者は、およそ1000人。これに避難所外生活者(帰宅困難者、車中泊者など)を加味し、およそ1300人分を備蓄しています。
しかし、東日本大震災や熊本地震のような大規模災害では、支援が届くのに1週間以上かかった地域が多くありました。そのため、「3日では足りない、最低でも7日分は必要」という声が専門家や被災地から強く上がっていることも事実です。重要なことは、市役所と個人・家庭の備えとの役割分担です。市役所の役割は「公助」であり、すべての市民ニーズを満たす量は備蓄できません。よって、家庭や個人が「自助」として飲料水・非常食・衛生用品などを各自で備蓄することが求められています。
個人や家庭での備蓄は、避難所に避難する方、車中泊をする方、在宅避難する方で、大きく異なります。また、家族構成(高齢者、妊産婦、乳幼児、ペットなど)や性別(生理用品など)、持病(常備薬や医療機器)など、それぞれの「最低限」に合わせた備えが必要になります。市役所が備蓄しているものに加えて、各家庭が必要に応じて大規模災害が起きる前に十分に備えることが重要です。
◆備えがなければ7日間は「最低限」
POINT 01 発災〜3日
POINT 02 発災後4日〜
POINT 03 発災後7日〜
◇避難所にあるもの、ないもの
発災〜3日間、避難者に対しては市の備蓄にて対応する想定です。大規模災害であれば、発災後4〜7日は国からのプッシュ支援により基本8項目((1)食料、(2)毛布、(3)乳幼児用ミルク、(4)乳幼児用おむつ、(5)大人用おむつ、(6)トイレ(簡易・携帯)、(7)トイレットペーパー、(8)生理用品)が配布されます。
発災から7日以降は、避難者のニーズに沿った物資を国・県に要請します。
◆災害時に命を守る備蓄の優先順位
・命と健康
36度の体温維持/粉塵・汚水・有害な空気から身を守るもの
↓
・水と食料
1人1日3ℓの水/レトルト食品や缶詰を3日〜7日分
↓
・衛生
歯ブラシなどの口腔ケア/簡易トイレ、生理用品など衛生が保てるもの
最優先は、命に関わる体温の維持や安全な空間を確保できるもの。具体的には、保温シートやマスク・ゴーグルなどです。次に水と食料。家族構成に応じた十分な量を確保しましょう。そして、衛生用品。断水でも使用できるマウスウォッシュや水がいらないシャンプーなどが有効です。
◆市役所が備蓄しているもの
・粉ミルク(アレルギー対応を含む)
・おかゆ
・食料(通常食)
・飲料水(500ml)
・毛布
・乳幼児用紙おむつ
・乳幼児用おしりふき
・大人用紙おむつ
・大人用おしりふき
・生理用品(昼夜)
・おりものシート
・携帯簡易トイレ
・液体はみがき
・トイレットペーパー
・ウェットティッシュ など
◆市も着々と準備する災害協定とライフライン
【ID】0033874
災害協定とは、災害時に自治体が民間企業の協力を得るために協定書や覚書を交わしておくことです。
大規模な災害時にはマンパワーの不足や施設・設備の故障や不具合、破損が自治体の災害対応に支障をきたすことが多々あるためです。実際に、災害時のマンパワー不足を加味して職員採用を行っている自治体は、ほぼないと言っても過言ではありません。このような防災における「公助の限界」を補うのも協定の役割です。
また、災害時ライフライン確保の一環(生活用水)として、市内に防災井戸の設置を行っており、現在椿市と仲津校区の2箇所あります。
◇災害時の物資供給協力
ゆめタウン行橋店・南行橋店
グッデイ行橋店
コメリ災害対策センター
ルミエール
ナフコ
その他にも、「災害時における応急対策活動機材のレンタル」として株式会社ナガワと、「災害時における電気自動車等の無償提供」として日産自動車九州株式会社など、合計46団体と協定を締結しています。
直近では、「災害時における物資の配送」として福山通運株式会社と協定を締結しました。(本紙P20参照)
◆次回の避難所開設からペットも同行避難が◯
【ID】0036557
ペットの同行避難とは、災害の発生時に飼い主がペットを同行して避難場所まで安全に避難することを言います。避難所でペットと人を同室にすることではないことに注意が必要です。
ペットの同行避難は「ペットを救うための行動」と捉えられるかもしれません。もちろん家族同然のペットを救う目的もありますが、過去の災害現場では、一旦避難した飼い主が、ペットを避難させるために自宅に戻った際に災害に巻き込まれた事例が多々あります。
同行避難を推進することは、飼い主がペットとともに躊躇なく避難できる体制を整えることであり、飼い主の安全を確保すること、つまり、全ての市民の安全を確保することが本来の目的です。東日本大震災では同行避難できないことで、やむを得ず放たれた犬や猫が繁殖・増加し、災害復興を妨げる一因となったことも報告されています。
◇ペットと避難される方は絶対読んでほしい!
同行避難できる条件や場所などを掲載した市のガイドライン
避難所にはたくさんの方が1つ屋根の下で過ごします。
今年度からペットOKの避難所を設定しましたが、有事の際には「動物よりも人が優先」という現実も受け入れなければなりません。
ガイドラインには、避難可能な条件や避難所に持って来るべきもの、人と共生するためのしつけなどが掲載されています。