くらし 特集 戦後80年 戦争の残痕と平和の継承(2)

■平和(へいわ)の継承(けいしょう)
長い時間の経過の中で、戦争の傷痕は失われつつあります。
そのような中、戦争という惨劇を繰り返すことのないように、そして次世代へと平和を継承していくために、さまざまな活動が行われています。
未来に生きる世代が笑って幸せに生きるために、現代の私たちはなにができるでしょうか。
戦争の悲惨さを伝え、平和の大切さを継承している活動に取り組む人たちから話を聞きました。

▼第十六方面軍司令部跡(だいじゅうろくほうめんぐんしれいぶあと)
山家在住 石川榮次郎さん
第十六方面軍司令部跡について調べ続けています。この地下壕は突貫工事ということもあって、作業には、自主的に働きに来た人もいれば、連れてこられた外国人などもいました。現在はこの地下壕に立ち入ることができなくなっています。
戦争が終わると、多くの兵隊が地元に帰るために家具や装備品を山家の民家などに預け、そのまま戻って来ずに、処分に困りました。また、司令部を作るために整備したものが後々、地域間での争いの火種となることもありました。
戦争は終わっても、その後始末に巻き込まれる人たちも犠牲者です。
人間は、過去の後悔から反省して学んでいかないといけないと思います。

▼8・8筑紫平和(ちくしへいわ)シンボル 継承(けいしょう)のつどい
筑紫区 区長 大石英樹さん
西鉄筑紫駅列車銃撃事件があった8月8日、被災された方への追悼と平和への願いや誓いを継承するため、毎年式典を行っており、30年以上続いています。式典では、関係者による焼香や、下見保育所の子どもたちが平和への願いを込めた千羽鶴を奉納しています。
私自身も筑紫野市内でのことではないですが戦争を経験し、焼夷弾が落とされる光景や戦争の怖さを幼いながらに覚えています。
式典を続ける中で、この惨事から80年が経過し、関係者の高齢化が進み、戦争の悲惨さが風化し、忘れられつつあると感じます。この式典は追悼の意味もありますが、今の平和を続けるために必要だと強く感じています。

▼二日市中学校(ふつかいちちゅうがっこう) 平和学習(へいわがくしゅう)
二日市中学校 平和集会実行委員
二日市中学校では、希望した生徒およそ80人が平和学習の実行委員として、戦争遺構を学習する班と身近な平和を考える班に分かれ、戦争について学んでいます。8月6日(水)には、実行委員が全クラスで平和学習を主催し、戦争とは何か、平和とは何かを一緒に考えます。また、令和8年1月10日(土)には、「人権尊重のまちづくりサポーター養成講座」の中で学んだことを発表する予定です。
戦争について学び平和について考えながら、自分なりの答えを見つけたいと思っています。

▼済生会二日市病院(さいせいかいふつかいちびょういん) 水子供養祭(みずこくようさい)
済生会二日市病院 壁村哲平院長
二日市保養所は昭和22年に閉所し、施設の建物を引き継ぐ形で済生会福岡病院分院(現済生会二日市病院)が開所しました。昭和57年、当時の院長が堕胎された胎児の供養のために水子地蔵堂を建立し、毎年5月14日に供養祭を開催しています。
記録によると、200人を超える女性が二日市保養所で中絶手術を受けました。当時の医師たちは、性暴力の被害を受けた女性の苦しみと、罪のない胎児の命に、寄り添い続けたのだと思います。
戦争は、遠い昔、遠い国の出来事ではなく、いつ身近に迫ってくるかわからないのです。水子地蔵堂での供養祭を続けていくことで、戦争を知らない世代にとって、平和や命について考えるきっかけになればと願っています。

▼その他の活動
○戦没者追悼式(せんぼつしゃついとうしき)
筑紫野市では、毎年10月に生涯学習センターで戦没者追悼式を行っています。
今年度の式典の詳細は、広報10月号でお知らせします。

○二日市保養所(ふつかいちほようじょ)パネル展示(てんじ)
二日市保養所についてのパネル展示を行います。
日時:8月6日(水)〜19日(火)
※最終日は15時まで
場所:生涯学習センター1階多目的ホール
また、「女性の人権と平和」についての講演会を行います。詳細は市ホームページをご確認ください。
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問合せ:人権政策・男女共同参画課男女共同参画担当
【電話】918-1311

○歴史博物館企画展(れきしはくぶつかんきかくてん)
戦後80年となる今年、歴史博物館では「戦時下を生きた二人のものがたり」をテーマに、戦時下を生きた二人の一生とそこから見える時代背景を振り返ります。
日時:10月11日(土)〜12月14日(日)
場所:歴史博物館企画展示室

問合せ:文化財課
【電話】922-1911

この記事に関する問合せ:秘書広報課