- 発行日 :
- 自治体名 : 福岡県太宰府市
- 広報紙名 : 広報だざいふ 令和7年7月1日号
■観世音寺の祇園社(ぎおんしゃ)と竹(たけ)の曲(はやし)
毎年7月、京都では八坂神社の祇園祭、福岡では櫛田神社の博多祇園山笠と各地で祭礼が行われます。旧暦6月15日に疫病除けを祈願するもので、太宰府でもかつては祇園社があり同様の祭礼が行われていたようです。
祇園社の建立については、元禄年間(1688〜1704年)に編さんの『筑前国続風土記(ちくぜんのくにぞくふどき))』に「観世音寺村内(そんない)に、祇園の社あり。むかしは宰府(さいふ)に有りと云(いう)。」とあります。一方で、観世音寺に伝わる安政4(1857)年の『祇園宮由緒書(ぎおんぐうゆいしょがき)』には、観世音寺の建立を発願した天智(てんぢ)天皇が観世音寺に祀ったとあり、複数の由緒が存在します。
祇園社の場所は共通して観世音寺の南東にあり、大永6(1526)年の『観世音寺伽藍絵図(かんぜおんじがらんえず)』には、南門の外側、東寄りに「祇園宮(ぎおんぐう)」と記された社殿が描かれています。文政4(1821)年編さんの『筑前名所図会(ちくぜんめいしょずえ)』の挿絵にも同じ位置に「ぎおん」と付記された小さな社があり、周囲はやぶで荒廃した様子が描かれています。現在では、祇園社の由緒を伝える石碑(大正8年建立)が大きなクスノキの陰にひっそりとたたずんでいます。
さて、太宰府の祇園社の祭礼では、六座(ろくざ)(※1)による能が奉納されていたことが、江戸期の六座各家や観世音寺の文書に記されています。市指定文化財「六座の面(めん)」は、この能で用いられた面とされています。かつて演じられていた能が、田楽的な要素を保ちながら、県指定無形民俗文化財「竹の曲」(※2)として六座の末裔(まつえい)などにより継承されています。令和5年2月には太宰府市民遺産に認定されました。その年、実に約150年ぶりに祇園祭(7月15日)に合わせて観世音寺での奉納が復活しました。機会がありましたらぜひ観覧してください。
※1……中世から江戸時代にかけて市を形成していた五条の商工業者の集まり
※2……令和4年度に記録調査した「竹の曲」の動画を公開しています。
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文化財課
遠藤(えんどう)茜(あかね)
■絵師調査パネル展を開催
平成26年に始まった太宰府の絵師調査事業のこれまでのあゆみと成果をパネルで紹介します。
会期:7月26日(土)〜9月7日(日)
場所:文化ふれあい館 多目的ホール
料金:無料
文化財課 調査係
【電話】内線879
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