文化 ふるさと再発見 広川町郷土史研究会

■広川町にある巨樹・珍樹 その6
長延区内には、庄屋(しょうや)の大欅(おおけやき)と称されるシオジの巨樹が聳(そび)えています。
推定樹高 25・0メートル
幹周 5・7メートル
推定樹齢 450年
を測ります。
ケヤキ(欅)と称されてはいますが、植物学的には正しくはシオジです。樹姿をはじめ葉など似ていることはもちろんですが、製材した木目(もくめ)も素人目(しろうとめ)には区別がつきかねることから、誤称(ごしょう)されることが少なくないようです。
庄屋の大欅と称するように、伝説が伝わっています。
天正15年(1587年)、豊臣秀吉(とよとみひでよし)による九州平定の後、新しく上妻郡(こうづまぐん)を拝領(はいりょう)したのが筑紫広門(つくしひろかど)です。広門公は治めることになった新領地を巡検(じゅんけん)する途中に、長延村庄屋萩尾右近之助(はぎおうこんのすけ)の屋敷に立ち寄ってひと休みをしたそうですが、一行が出発した後に1本の欅の苗が残っていました。急ぎ後を追って知らせると、「我々ではない。自分の屋敷にでも植えて置け」との返事だったことから、仕方なく屋敷の隅(すみ)に植えたのが始まりだったのが、今では天を突くほどに生長した。という話です。
秋に黄葉(こうよう)した姿は見事というほかありませんし、2階建ての家が少なかった時代のことでしょう、近隣の古老の話では、どこからでもよく見えて格好(かっこう)の目印だったようです。
当該木は長い間、日本一のケヤキ樹と認識されていましたが、平成3年(1991年)に環境省による全国巨樹調査が行われて、法量的には、東京都奥多摩町の幹周6・1メートルの樹が日本一となり、当該木はシオジとして全国第2位のランク付けとなりました。
当該木はケヤキに遜色(そんしょく)のない木目であることから、建築材はもちろん、建具材(たてぐざい)などに広い用途があります。
平成3年9月の台風19号で、折損(せきそん)など枝には大きな被害がでましたが、現在はその傷も癒えて、樹盛(じゅせい)はなお旺盛(おうせい)であり、名実ともに大樹というにふさわしい姿です。

■広川町古墳資料館だより
昨年、九州歴史資料館で開催された特別展「筑紫君一族史(つくしのきみいちぞくし)」で、広川町出土の指輪(福岡大学所蔵)が展示されました。銅地に金メッキがほどこされた指輪2点。金環状ですが、造形は巧みで、図録によると新羅に製造の系譜が求められるとのことです。
出土した古墳は不明ですが、広川町古墳資料館でも展示したいと思える逸品です。