文化 ふるさと再発見 広川町郷土史研究会

■広川町にある巨樹・珍樹 その10
○石人山古墳参道のヤマザクラ
石人山古墳の参道沿いには、ヤマザクラの古樹が10株ほど聳(そび)えています。その中で一番大きいものは、1株が5幹に分かれて枝を張っています。
樹高 約25・0メートル
幹周 2・55メートル
幹1 0・6メートル
幹2 0・6メートル
幹3 0・6メートル
幹4 0・85メートル
幹5 1・0メートル
※このような場合は、5つの合計に0・7を掛けた数字を幹周とします。
推定樹齢 約150年
いずれも同じ時に植栽されたと考えられ、すでに樹幹には空洞が生じたり、テングス病にかかっているものも見受けられます。古墳の墳丘部には、大正11年(1922年)ごろに、陸軍によって高射砲陣地が構築されましたが、その際に樹木が伐採されたようです。幸運にも参道沿いのヤマザクラは伐採を免れて、今日見る大樹になったものと考えています。

○吉常区地内にもヤマザクラの大樹が
各地に○○の一本桜と呼ばれる名木がありますが、この樹にもふさわしい名称を与えたいものです。
樹高 約25・0メートル
幹周 2・8メートル
推定樹齢 約150年
当該木は単幹で、見ごたえのある樹ですが、写真左の枝の1つには、枯れ込みが見受けられました。
樹皮からうかがうと、すでに老境の域に達しているようで、気のせいか花びらも、小さく見えました。
すぐそばまで近寄らないと全容は見えず、残念ながら遠くからは、まったく望めない地味な存在です。

○巨木の定義
環境省が示す定義は、地上1・3メートルでの幹周が、3・0メートル以上となっています。
それに従うと厳密には、これまで紹介した中では、長延区内のシオジ(幹周5・7メートル)以外は、該当しないことになります。必ずしも定義にこだわらず、町内で特筆できる樹木を取り上げていることを、ご理解ください。

■広川町古墳資料館だより
国宝「挂甲(けいこう)の武人」の埴輪(はにわ)が、粘土を窯に入れて高温で焼いた時の、茶色のままでなく、白・グレー・赤など、鮮やかに色づけされていたことが、東京国立博物館の詳細な調査で判明しました。今回の特別展「はにわ」では、装飾されたレプリカの「挂甲の武人」も展示されていました。広川町の、石人山古墳の石棺や石人も赤色に塗られていたようです。古墳時代では、色づけをする行為に祭りや神事的な意味があったことがわかります。