- 発行日 :
- 自治体名 : 福岡県添田町
- 広報紙名 : 広報そえだ 令和7年4月号
3月6日に行われた定例議会本会議で、寺西町長が表明した本年度の施政方針の中から町が目指す方向性を抜粋してお伝えします。
この4月には、いよいよ添田町立小中学校の新校舎が落成・開校いたします。桜の名所・添田公園の一角に、4階建て、地元の木材をふんだんに使った内装で温かく優しい小中同居の学校です。開校に当たり地域や保護者の皆さまを始め多くの関係者に、ご理解とご協力を賜りましたこと、心より深く感謝申し上げます。町としましては、未来への投資であります。この春、学校生活をスタートする子どもたちにとって令和7年という年が、いつまでも記憶に残るよう町政の推進に努めてまいります。
■過疎化・人口減少を受け入れた施策を
本町の人口は、令和6年12月末現在で8311人、国立社会保障・人口問題研究所が公表した人口推計によると、10年後の2035年には6301人と推計されています。全国的にも人口減少が進む中で、過疎化が進み人口減少にも歯止めがきかない状況では、この数字を現実として受け止めなければなりません。
若者世代・子育て世代など、特に労働の中核的な担い手として経済に活力を生み出す生産年齢人口の減少が懸念されています。
このような状況ではありますが、減少する中にも町を持続して行く必要があります。それには、我が町の人口構成に着目し、現在の高齢者の多い逆ピラミッド型の年齢構成から、各年齢層平均した釣鐘型の人口構成を求めていかなければなりません。
そのために、誰もが孤立することなく健康で、持続可能な農林業や、人々の交流を生み出す観光などによる雇用創出を図り、豊かな自然環境のもと、「いつまでも健康で住み続けられる・住みたくなるまち」を将来像として、その実現を目指し取り組んでいるところです。
■「にぎやかな過疎」に着目した予算編成
そこで重要なのが、地域コミュニティーの醸成です。
過疎化が進む本町では、人口減少や高齢化が深刻な問題となっていますが、その一方で地域の人々が集まり、活気を取り戻そうとする動きが見られます。地域の特産品を活かしたイベントや、地元の文化伝統を継承する祭りが開催されることで、外部からの観光客を呼び込むことができます。若者たちが移住し、地域の資源を活用した新たなビジネスを立ち上げるケースもあります。
こうした取り組みは、地域住民の結束を強め、コミュニティーの活性化を促進するものです。さらにSNSを通じて、地域の魅力を発信することも重要です。添田に住む人々が自らの生活や文化を発信することで、全国的な関心を集め、地域への移住や観光を促進する効果が期待できます。
このような取り組みを「にぎやかな過疎」と称しています。言葉自体は、一見矛盾した概念のように思えますが、実際には地域社会の新たな形を示すものです。
「にぎやかな過疎」は、単なる人口の多さではなく、地域の人々がどれだけ活発に交流し、協力し合っているかにかかっています。
令和7年度は、こうした「にぎやかさ」を生み出す取り組みがますます重要になってくると考えています。
令和7年度の一般会計当初予算総額は87億7212万円で、前年度当初予算との比較では、学校建設が一段落したことから16.6パーセント、17億5231万円の減額となっています。事業を推進するにあたっては、人口減少など現在の状況を踏まえたうえで将来を見通しての町の負担も考えなければなりません。既存事業の見直しや、新規事業経費の精査などで事業財源の確保を行い、効率的かつ効果的に施策を展開し、行政ニーズを的確に捉えた財政運営に努めて参ります。
◆添田町 主要事業
令和7年度の主な事業を紹介します。
○みんなでまちづくり推進事業
→100万円(総務費)
地域の課題解決などを目的に自主的、主体的で公益性のある活動を行う団体に対し、持続可能な地域力の向上を目的に助成金を支給します。
○桝田駅コミュニティーセンター改修事業
→337万円(総務費)
豊前桝田駅集会所を地域の子どもから高齢者まで多様な世代が憩いくつろげる、にぎわいづくりのスペースになるよう改修します。
○放課後児童クラブ施設建設事業
→3億7,499万円(民生費)
小学校の統合に伴い、放課後保育を必要とする小学生の環境整備のため、新たに放課後児童クラブ施設を添田公園駐車場内に建設します。
○帯状疱疹ワクチン予防接種事業
→957万円(衛生費)
帯状疱疹のワクチン接種費用を65歳以上の希望者に助成します。助成には年齢要件などがありますので、詳細は別途お知らせします。
○ICT活用技術者育成事業
→129万円(農林業費)
林業に携わる人材不足を解消するため、森林計画作成や林道設計などの担い手育成を目的としたQGIS操作研修やドローン操作講習会を実施します。
○道の駅歓遊舎ひこさん周辺再整備事業
→2,416万円(農林業費)
道の駅周辺を人が集まる拠点として再整備を行います。動線を改善し回遊性を高めて、利用者の増加や滞在時間の延長を図り、にぎわい創出を行います。
○小中学校校舎更新事業
→4億331万円(教育費)
4月に開校した添田町立小中学校。本年度は旧添田中学校の解体工事を行い、その後令和8年度にかけて中学校のグラウンド整備を行います。
○添田町青少年グローバル人材育成事業
→803万円(教育費)
インターネットで世界と繋がるだけでなく、実際に国際社会に触れ体感することで地域社会に貢献できる青少年の育成を目的に海外派遣事業を行います。
○水道ビジョン改定事業
→2,804万円(水道会計)
令和3年度に策定した水道ビジョンを4月使用分からの水道料金改定に伴い、今後の水道管の強靭化や浄水場などの更新を見越した計画に改定します。