文化 多久市の指定文化財(7)

ー多久聖廟釈菜(せきさい)ー [佐賀県重要無形民俗文化財]
多久町一六四二番地(多久聖廟)

多久町の多久聖廟は多久市の歴史と文化を代表する文化財です。釈菜とは、儒学(じゅがく)の祖孔子(こうし)を祀(まつ)る孔子廟の祭典であり、多久では四代多久領主多久茂文(しげふみ)により宝永5年(1708)に多久聖廟が創建され最初に行われて以来、春と秋の年2回絶えることなく執り行われています。孔子を祀る正式な儀式を釈奠(せきてん)といい、「釈」と「奠」は同じく供物(くもつ)を供える・並べることを意味します。釈奠は家畜などの犠牲(いけにえ)を供えますが、一方それを省き蔬菜(そさい)を中心に供える略式を釈菜とよび地方の孔子廟では釈菜が行われました。
多久の釈菜は江戸時代に記された『釈菜儀節(ぎせつ)』の手順に則り行われ、現在釈菜を執り行う祭官(さいかん)には、多久市長や市議会議長、教育長、市内学校長などが扮(ふん)します。献官(けんかん)・掌儀(しょうぎ)・賛者(さんじゃ)・祝者(しゅくじゃ)・司尊(しそん)・執爵(しっしゃく)・執饌(しっせん)の祭官のほか、執事諸役、雅楽(ががく)を奏でる伶人(れいじん)という役割があり、祭官は明代(みんだい)の深衣(しんい)、伶人は直垂袴(ひたたれはかま)の衣装を着用します。多久聖廟釈菜は昭和55年に文化財指定され、現在春は4月18日、秋は10月第4日曜日に行われます。
(教育振興課)