- 発行日 :
- 自治体名 : 佐賀県神埼市
- 広報紙名 : 市報かんざき 令和7年3月号
◆マイコプラズマ感染症
現在、もっとも流行している感染症はインフルエンザですが、新型コロナウイルスや感染性胃腸炎なども多いです。また、マイコプラズマ感染症も例年より多い傾向です。そこで今回のテーマはマイコプラズマ感染症です。
この感染症は、マイコプラズマという細菌による病気です。この病気は長引く空咳が特徴です。中学生以下の若い人に多く、大人には少ないです。理由は、大人になるまでにほとんどの人はこの病気にかかっていて、免疫を持っているからでしょう。ただし免疫は時間の経過とともに消失していくので、大人の感染もありえます。
主な感染経路は、感染者から咳とともに排出された菌を吸い込むことです。そして2~3週間後(潜伏期間はインフルエンザなどの2~3日に比べるとかなり長い)、発熱に続いてひどい空咳が出てきます。一般的に重症化することなく1週後には回復に向かうのですが、咳と発熱が長引くことがあります。たびたび肺炎(重症ではないが)を併発することがあります。そのためこの感染症はマイコプラズマ肺炎とも呼ばれます。
近年、マイコプラズマ迅速診断キットが開発されたので、検査が手軽にできるようになっています。インフルエンザや新型コロナでおなじみの検査方法です(鼻腔から細い綿棒を咽頭まで挿入し、ぬぐい液を採取します)。結果は数分で分かります。従来のマイコプラズマの検査は結果が出るまでに2週間ほどかかっていたので、使いにくかったです。これまで“かぜ”や“気管支炎”などと診断されていたものが、この検査法により、マイコプラズマ感染症だと正しく診断されるようになったことが、近年この感染症数が増えている理由かもしれません。
治療は抗生物質を用います。予防のためのワクチンはありません。
マイコプラズマ感染症はもとよりありふれた病気です。致命的になるほどの重症疾患ではありませんし、誰でも一生の中で一度は感染する可能性がある病気です。ただ、ひどい咳が長く続くことがあり、それがつらい病気です。
国民健康保険脊振診療所 牛島 幸雄
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