しごと つたエールけん

県内で頑張っている企業や人にエール(応援)を送ります!

■本多木蝋工業所(島原市)
お話を伺ったのは
代表 本多俊一(ほんだしゅんいち)さん

和ろうそく作りや絵付け体験が人気
島原の伝統産業「木蝋」を後世へ

◇創業から95年 希少な木蝋製造工場
1930年に祖父が創業。島原では島原大変(1792年)の復興策にハゼノキの植樹を推奨し、木蝋(もくろう)を生産して財政危機を切り抜けた歴史があります。明治以降は洋ろうそくが普及したことで木蝋生産は衰退し、現在では国内に3カ所しかない木蝋製造工場の一つになりました。1937年製造の玉締め式圧搾機を使用しているのは日本でここだけで、江戸時代から続く伝統技法を大切にしています。
※木蝋:ハゼノキの実から採れる和ろうそくなどの原料

◇島原市が原産の昭和福ハゼが原料
現在、当所でハゼノキを植樹した山が市内に6カ所あり、そこで採取したハゼの実を使用しています。こだわりは、実の蝋分が35%~40%と高い品種の「昭和福ハゼ」を原料にしていることです。1991年の大火砕流で絶滅の危機に陥りましたが、復興に取り組み、その一環で敷地内にもハゼ農園を作っています。植物性の木蝋は肌にも良いので、和ろうそくのほか、石けんやハンドクリームなども製造・販売しています。

◇和ろうそく作りがインバウンドにも好評
私が3代目として運営を始めた10年ほど前から、従来の和ろうそくに絵付けを施すなど商品の魅力向上に努め、インターネットで全国販売しているほか、島原に伝わる伝統的技術の継承とまちおこしの起爆剤になればと、妻と共に和ろうそく作り・絵付け体験も行っています。県外や海外からも団体客が訪れるほか、大三東(おおみさき)駅で看板を見た観光客もよく立ち寄ってくれます。島原の伝統産業である木蝋の明かりをともし続けるために、これからも頑張ります。