- 発行日 :
- 自治体名 : 長崎県対馬市
- 広報紙名 : 広報つしま 令和6年11月号
高齢化や過疎化によって、自分の行きたい場所に、行きたい時に移動することが難しい人が全国で増えています。対馬でも例外ではなく、移動する機会を失い困っている人たちがいます。そんな「困った」を解決しようと動き出したボランティアの活動を紹介します。
■自家用車での移動が多い対馬
日本で3番目に大きな離島である対馬では、仕事や買い物、趣味の活動に至るまで、移動に費やす時間の割合が高く、その多くが自動車を使用したものです。対馬市内にある自家用車は約2万台(令和3年)で、運転免許を取得できる18歳以上の人口とほぼ同じ数であり、1人あたり1台を所有している計算になります。自家用車の利用が多いため、路線バスをはじめとする公共交通機関を利用する人が少なく、便数だけでなく路線の減少なども進んでいる状況です。このことは、高齢となり自家用車を利用することができなくなった時に、多くの問題が生じる要因にもなります。
■行きたい場所に、行きたい時間に
対馬市では、路線バス以外にも、乗り合いタクシーや通学のために運行しているスクールバスへの一般客の混乗などが行われています。しかし、便数や路線に限りがあるため、自家用車のように、希望する時間・場所に移動できないなどの制約が生じています。その状況を何とかしようと、豊玉町に住む人たちが解決に向け行動を起こしました。
■高齢者の居場所づくりとドライブを組み合わせ
地域の高齢者の居場所を作るための活動を行っている住民グループ「おろしかの里」では、利用者へのアンケートで、移動や買い物などに困っていることが分かり、令和3年1月から、月に2回車を使ったサロン※を開くことにしました。この取り組みにより、移動する車内で高齢者の居場所作りを行いながら、買い物や通院、温泉施設などへの移動を支援して、利用する人たちの困りごとを解決することができます。
現在は、おろしかの里の拠点である旧乙宮小、旧塩浦小校区のほか、豊玉町の浅茅湾沿岸エリアで住民ボランティアによるドライブサロンが行われており、これまで、延べ350人を超す地域の方が、通院や買い物などの移動のために利用しています。行きたい場所に、行きたい時間に自家用車での移動が多い対馬高齢者の居場所づくりとドライブを組み合わせ「現在、2つのエリアで実施しています」
※サロン…介護予防のために地域の人たちが運営している高齢者の集い、通いの場所