しごと 今日も誰かの“おいしい”のために(4)

▼4.漁業の商品開発 地元でも大人気の看板商品「ゑべす蛸」
次世代に資源をつなぎ、ブランド蛸を全国へ広げたい!

〈大瀬戸町漁業協同組合〉
〒857-2307 大瀬戸町瀬戸福島郷1432-2
【電話】0959-22-0039
営業時間:月~金曜 9:00-16:00 ※祝日、年末年始を除く

〇大瀬戸町漁業協同組合 タコ部会 会長 岩本義人(いわもとよしと)さん
漁師歴50年以上、タコつぼ漁、あら縄漁、ふぐ縄漁と、年間を通じて多様な漁を行う。おすすめのタコ料理は「タコのフライ」。
〇大瀬戸町漁業協同組合 職員 販売担当 宮崎祐輔(みやざきゆうすけ)さん

▽タコ部会とは?どんな取組をしているのですか?
岩本:大瀬戸町漁協のタコ部会は13人の組合員で構成され、現在12艘そうで稼働しています。半数以上が60歳以上と高齢化が進む中、タコの資源管理や漁場の管理、産卵環境の保全、経営の安定化など持続可能な漁業に取り組んでいます。
毎年8月にタコが産卵するためのツボを海に投入する取組みは、西海市からの支援のもと30年以上続けており、これほど長い期間続いているのは長崎県内ではここ大瀬戸町だけ。長崎県総合水産試験場からは水中ドローンによる海底調査などに協力いただいています。
今年は「みらいえのしま合同会社」から産卵魚礁20基の寄付を受け、タコが産卵できる環境づくりを進めています。

▽タコ部会と漁協はどのように連携していますか?
岩本:タコ部会では漁協と連携して各組合員が獲ったタコをまとめて出荷する「共同出荷」をしています。漁獲量に左右されず安定した価格で販売でき、組合員の収入安定につながります。
宮崎:沖で獲れたタコは活かしたまま漁協に水揚げをし、氷水でしめます。その中から、長崎市の水産加工会社に販売するものと、漁協で加工するものに振り分けます。加工するタコは、その日のうちにワタの除去、氷水浸けを行い、翌朝加工をします。サイズ分けをして浜茹で、パッケージングまで全て漁協が行っています。

▽商品開発のきっかけとは
岩本:平成21年に他の魚の漁獲量が減る中で漁協の収入源になればと、当時の理事が「加工場を作ってタコを茹でて、ブランド化したい」と提案したのが始まりです。県や市から支援を受けて、翌年から本格稼働。和歌山県でタコ揉み機や加工する機械について研修を受けて、これまで試行錯誤しながら現在の形になりました。
大瀬戸町では昔からタコつぼ漁が盛んで、各家庭で茹で方が違っていたので、よりおいしくできるよう研究を重ねて、大瀬戸町漁協ブランドの「ゑべす蛸」が完成。色も味も歯ごたえも完璧な仕上がりです。どこよりもおいしい「ゑべす蛸」を全国に広めたいです。

▽販売・流通での新たな活路について
宮崎:販売促進業務を委託している西海クリエイティブカンパニーと連携してイベントや商談会に積極的に参加し、販路を広げていきたいです。西海市内では、直売所、大瀬戸町のスーパー「スマイルマーケットまつがたや」、また、漁協での直販で購入できます。定期的に開催している「西海市土曜朝市」では、すぐに売り切れるほどの人気です。地方発送やふるさと納税、お歳暮も対応しています。
最近は、チルドで購入したいというお客様の声が増えているので、今後検討したいです。