- 発行日 :
- 自治体名 : 長崎県雲仙市
- 広報紙名 : 広報うんぜん 令和7年4月号
■なぜ島原半島には“地獄”があるのか
701年に開山したとされる温泉(うんぜん)山。1934年に日本初の国立公園に指定されたことをきっかけに、表記を“雲仙”に変えました。修験僧の修行の地、キリシタンへの拷問の地、そして外国人観光客の避暑地としての歴史があります。このような歴史的出来事をもたらすきっかけとなった温泉には、火山性のものと非火山性のものがあり、雲仙温泉は火山性の温泉に分類されます。この火山性の温泉はどのようにしてできるのでしょうか。
火山の地下にあるマグマだまりからは、高温の火山ガスが常に地表にもたらされています。この火山ガスが地下水と混ざりあい、地表に湧き出した熱水が火山性の温泉です。島原半島には、東西方向に断層がたくさんあり、その断層の一部が温泉の通り道になっていると推定されます。
湧き出す温泉の量は、火山ガスと地下水が混ざる量で決まります。大量の火山ガスが大量の地下水と混ざって湧き出せば、大量の温泉になりますが、火山ガスに対して地下水の量が少ないと、地下水に混ざりきれなかった火山ガスは地表に直接噴き出します。溶岩や地層がこの火山ガスや強い酸性の温泉水に触れると、中のミネラル分が溶かし出され、溶岩や地層は白い泥へ変化していきます。つまり、雲仙で見られる白い泥の間から温泉や火山ガスが湧き出す景観“地獄”は、火山ガスに比べて地下水の量が少ないためにつくられたものです。
雲仙地獄には温泉たまごなどさまざまな名物があります。一般的には怖いイメージがある地獄ですが、雲仙の“地獄”は島原半島に火山があるからこそできた大地の贈り物なのです。
問合せ:島原半島ジオパーク協議会事務局
【電話】0957-65-5540