- 発行日 :
- 自治体名 : 熊本県熊本市
- 広報紙名 : くまもと市政だより 2025年4月号 Vol.924
◆腰部脊柱管狭窄(きょうさく)症について
熊本市立熊本市民病院
整形外科 部長 岡田 龍哉
今回は、高齢化に伴って増加している腰部脊柱管狭窄症について専門医にうかがいました。
◇腰部脊柱管狭窄症とは
腰椎部にある神経の通り道(脊柱管)が狭くなり、神経が圧迫されて起こる病気です。50歳代以上に多く、高齢者では10人に1人ほどの割合でみられるといわれています。
◇症状
歩いていると下肢のしびれや痛みが生じて長い距離を続けて歩けなくなり、前かがみになってしばらく休むとまた歩けるようになるというのが典型的な症状です。腰痛はそれほどみられないのも特徴です。ひどくなると、連続して歩ける時間が短くなっていき、足の動きがまひしたり、残尿感や便秘などの症状が出ることもあります。
◇治療は
症状が軽いうちは症状を和らげる薬物治療を行いますが、それでも症状が進行する場合は手術治療を行います。
◇手術の方法は
腰椎に不安定性がない場合は、神経を圧迫している骨や靱じん帯たいを取り除く除圧術が行われます。除圧術の方法として、最近は筋肉の損傷を最小限にする内視鏡手術が行われ、早期退院、早期社会復帰が可能となっています。腰椎の不安定性がある場合は、除圧後に腰椎を固定する除圧固定術を行います。
◇気をつけることは
重症の症状を長期間放置していると、手術をしても神経が回復しないことがあります。特に足部のまひや排尿・排便障害が出現した時は早期に手術をすることが必要です。下肢のしびれや痛みで長時間歩けない、歩いていると徐々に前かがみになるなどの症状がある方は、早めに整形外科専門医にご相談ください。