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- 自治体名 : 熊本県宇土市
- 広報紙名 : 広報うと 令和7年10月号
猟友会ってどんな人たちか知っていますか?イノシシによる農作物の被害、山から街へと下りてくる野生動物たち――そんな危機から地域を守る人たちがいます。彼らの名は「猟友会」。
会社員、農家、定年後のセカンドキャリアなど、さまざまな人がそれぞれの想いを胸に活動しています。狩猟というと少し遠い世界に感じるかもしれませんが、実は地域の安全や暮らしを支える大切な役割を担っています。
この特集では、猟友会の現役会員の皆さんに活動のリアルとやりがいについてインタビューしました。まずは、猟友会の皆さんの活動を、少しのぞいてみませんか?
■年々増加する鳥獣被害
イノシシやアナグマといった野生動物による農作物の被害が深刻化しています。令和6年度の被害額は270万円にのぼり、中でもイノシシによる被害は特に深刻で、令和6年度の捕獲頭数は過去最多の989頭となりました。最近では、住宅地での目撃情報も増え、私たちの身近な安全まで脅かされています。
■猟友会の役割
イノシシによる農作物の食害を防いだり、生態系のバランスを崩す恐れがある特定外来生物(タイワンリス)を駆除したりと、地域社会への貢献を第一に考え、活動しています。猟友会は、鳥獣被害対策や日常生活における安全対策の役割として欠かせない、なくてはならない存在なのです。
■全国的な担い手不足
昭和50年代に全国で46万人いた狩猟免許所有者は、高齢化が進み、平成29年には21万人まで減少しました。本市でも、猟友会会員の平均年齢は65歳を超え高齢化が進んでいます。さらに、地域に、多くの猟師がいるわけではないので常に駆除の依頼に即応できるわけではありません。
■鳥獣被害から地域を守る―会長が語る猟友会の使命
「増え続けるイノシシの被害。地域の安心を守るために活動する猟友会について、会長にお話を伺いました。
◇「安全第一」で地域の自然を守る
宇土市役所の農林関係の仕事に携わり、猟友会の事務局を経て、現在は42名のメンバーを束ねる支部長を務めています。狩猟歴は50年以上。かつては1日に10頭以上の獲物を捕獲したこともあります。
モットーは「事故のない狩猟」。ベテランから初心者まで、メンバー全員が安全に活動できるよう日々努めています。
近年、猟友会は高齢化と会員の減少という課題に直面しています。しかし、地域の自然環境を守り、鳥獣被害を減らすためには、私たちの活動は不可欠です。
免許取得には市の補助金も活用できますので、少しでも興味のある人は、ぜひ私たちと一緒に活動しませんか。
猟友会 支部長 大津隆夫さん(84歳)
■私が猟友会に入った理由
「会社員や農家など、さまざまな人が活動している猟友会。入会のきっかけや活動のやりがいを、4人の会員に聞きました。」
◇被害をなくすため、自ら猟師の道へ
自分のタケノコ畑が荒らされたことをきっかけに、自分の農地は自分で守るために狩猟免許を取りました。猟友会に入会してからは、先輩たちから実践的な技術や知識を現場で学び、活動を続けています。罠をかける際には地元の皆さんに協力いただいています。皆さんのおかげで活動が出来ていることに本当に感謝しています。被害に悩む人々の力になりたいと、今では自身の畑だけでなく、地域の安全を守る活動にも力を入れています。
猟友会(網津地区) 長谷部博哉さん(78歳)
◇地域の安全を守る、頼れる猟師へ
このままでは、イノシシは増えるばかり。自分たちでできることは自分たちでしなければ。6~7年前、ゴミをあさりに上松山五色山地域のふもとまで来るイノシシに危機感を覚えたことが、狩猟免許取得のきっかけでした。獲物を効率よく捕獲するコツは、こまめな罠の見回りや、ドローンを使った足跡調査。日々工夫を凝らし、地域の安全を守るために尽力しています。猟の機会が増えるほど危険も伴いますが、区民の皆さんの声が活動のエネルギーです。
猟友会(花園地区) 関知徳さん(64歳)
◇「誰かがやらなければ」の思いから猟師に
網田地区でイノシシが増え、誰も獲る人がいなかった。このままではまずい、誰かがやらなければならない。そんな思いから狩猟免許を取得し、猟友会に入会しました。農作物の被害が多い網田地区では、農家からの依頼を受けて駆除に出動することも多いです。猛暑日の作業は体力的にも精神的にも大変ですが、駆除後の『ありがとう』の一言が、疲れを吹き飛ばし、やりがいにつながっています。地元の皆さん、捕獲にはとても協力的で、餌としてミカンやイモを提供してもらうこともあります。私たちにできる範囲で、これからも皆さんの手助けができればと思っています。
猟友会(網田地区) 中松久長さん(78歳)(右) 園田信一さん(70歳)(左)
■地域を守る仲間を募集しています
「猟友会の活動は、鳥獣被害対策や地域の安全を守るために欠かせません。しかし担い手不足が課題です。『地域に貢献したい』『自然と関わりたい』という方なら大歓迎。狩猟には免許が必要ですが、取得をサポートする仕組みもあります。あなたも一緒に地域を守りませんか?」
■狩猟をするためには狩猟免許の取得が必要です
狩猟免許は、狩猟に使用できる猟具の種類に応じて次の4種類があります。
・網猟免許…網(むそう網、はり網、つき網、なげ網)
・わな猟免許…わな(くくりわな、はこわな、はこおとし、囲いわな)
・第一種銃猟免許…装薬銃(散弾銃など)
・第二種銃猟免許…空気銃
狩猟免許取得のためには、狩猟について必要な適正、技能、及び知識に関して試験に合格することが必要です。本市では、狩猟免許試験にかかる費用の補助を行っています。
免許取得を検討している人は、試験を受験する前にご相談ください。
◇試験日程のご案内
試験日:令和7年11月29日(土)
開始時間:午前9時
試験会場:桜十字ホールやつしろ(八代市新町5番20号)
狩猟免許試験の詳細は熊本県ウェブサイトからもご確認いただけます。
