- 発行日 :
- 自治体名 : 熊本県阿蘇市
- 広報紙名 : 広報あそ 2025年7月号
■経済
○農政課
国は、今後5年間の農業政策の方向性を定める「食料・農業・農村基本計画」を閣議決定、農業の構造転換を集中的に進めながら、食料安全保障の確立を目指しています。農業政策の転換期を迎え、本年度も引き続き制度の動向を注視、JA・農畜産業関係団体・地域農業再生協議会等と合同会議を実施するなど連携を強化し、生産者等の視点に立った農業振興を図っていきます。
また、農林水産省の若手官僚が地域の課題解決を支援する「地方応援隊」に本市が選定され、2年間の支援を受ける予定です。今後、農林水産省からのアドバイスを頂きながら、本市のあるべき農業政策の確立を図っていきます。
阿蘇東部地域は、農業生産を支える基盤整備事業等の早期採択を求めていきます。併せて、大蘇ダムの農業用水を利用した新たな営農体系を確立し、高付加価値農業の実現に向けた取り組みを進めていきます。
近年、有害鳥獣による農作物や農業用施設への被害が拡大していることから、捕獲従事者の育成・確保を進め、イノシシ、シカの個体数調査や被害調査を実施、より効率かつ効果的な対策を進めていきます。
草原維持は、県による地下水涵養の推進策が、草原も対象に先行して実施されることから、今後の事業検討や財源配分等について注視し、引き続き地域と畜産業の共存、地域に根差した畜産業の振興を図っていきます。
市道狩尾幹線は、技術検討委員会での協議を踏まえ、地元への説明と理解を得ながら、牧道としての代替ルートも含め検討していきます。
○観光課
本市の観光は、令和6年の観光入込客数は626万人と過去20年で最高を記録しました。宿泊客数は62万人で熊本地震前の平成27年比80%まで回復、そのうち外国人宿泊客数22万人は過去最高となっています。その要因として、阿蘇くまもと空港の国際線(台湾、香港、韓国)の就航増加、円安等が挙げられます。本年7月、中国上海との航空路線開設が予定されており、多くの外国人観光客の入込が見込まれるため、これまで以上に受入れ体制の強化に取り組みます。
国内観光客誘致では、スポーツ合宿・文化活動合宿の誘致を強化し、施設利用料を支援するなど受入れを促進します。
大阪関西万博では、屋根に阿蘇の茅(かや)を使ったパビリオン(アースマート)が注目を集めており、阿蘇の草原の重要性や魅力を周知する機会として阿蘇グリーンストックと共に情報発信等に取り組んでいます。
今後も引き続き、阿蘇ならではの素材に焦点を当て、高付加価値化、食の地産地消、新たな体験メニューの推進等に積極的に取り組み、満足度の高い観光地を目指します。
○まちづくり課
地域経済は依然として燃料費・原材料費等の高騰、生活関連商品の相次ぐ値上げが続いています。こうした中、地域経済の牽引・促進及び市民生活の支援を目的としたプレミアム商品券などの対策を関係機関と連携しながら進めていきます。
ふるさと応援寄附金事業(ふるさと納税)は、寄附者の獲得を目的として、ポータルサイト内広告の運用強化や、新たな地域資源の掘り起こしによる返礼品の開発、プロモーションの充実に努め、本市のSNSなど情報発信手段も活用しながら、引き続き寄附金増収に向けた取り組みを推進します。
「阿蘇市移住定住支援センター」は、開設から半年が経過、相談件数も増加しています。引き続き空き家バンクの様々な情報をもとに移住・定住に関する相談に応じ、ワンストップできめ細やかなサポートを行っていきます。空き家活用リフォーム支援事業は、従来は県外移住者のみを対象としていましたが、本年度から県内移住者にも対象を広げるなど、更なる移住者の増加につなげます。
併せて、外国人が住みやすい地域づくりのため、生活に役立つ情報を多言語で説明・紹介した「暮らしのサポートブック」を拡充します。
■インフラ
○建設課
中九州横断道路は、半導体産業等を支え、平常時・災害時を問わず安全・円滑な人流・物流を支える道路ネットワークとの位置づけから、国の予算も重点的に配分されています。
今後も現在整備中の「竹田阿蘇道路」、「滝室坂道路」、「大津道路」及び「大津熊本道路」の事業促進と、阿蘇市管内の「滝室坂~北側復旧道路間」の計画段階評価への早期着手を関係機関へ強く要望していきます。
阿蘇山直轄砂防事業は、管内13ヵ所中6ヵ所で整備が完了、現在4ヵ所が施工中であり、残り3ヵ所は来年度以降の着工に向け、用地測量等が進められています。
阿蘇山直轄砂防事業促進期成会(阿蘇市・高森町・南阿蘇村)では、さらなる地域の安全向上のため、国に対し予算確保・整備促進の要望活動を行っていきます。
市管理河川は、土砂堆積等が顕著な河川の浚渫や支障木の伐採について、年度当初から随時計画的に発注しています。
河川改修は、住宅隣接地の護岸整備を行うなど防災減災対策を進めていきます。
市管理道路は、各区の要望、通学路の安全対策なども含め老朽化した幹線道路等の舗装整備を中心に進め、計画的に取り組みます。併せて、道路破損等の情報には迅速に対応し安全確保に努めます。
○住環境課
市営住宅は、坊中南団地の建設が順調に進んでいます。現在、建物2階部分の躯体コンクリート打設を完了、建物全体の形状も現れており、来年1月竣工を予定しています。既存住宅では、「阿蘇市営住宅総合基本計画」及び「阿蘇市公営住宅長寿命化計画」に基づき、修繕や改修を行い、老朽住宅の用途廃止及び解体撤去による集約再編、将来を見据えた総合的な建て替えを検討していきます。
環境事業は、「ASO環境共生基金」を活用し、将来の担い手である子どもたちへの環境教育や自然体験学習を継続して実施、景観を阻害している雑木林の伐採等、景観整備を図っていきます。
阿蘇の草原に生息・生育している希少野生動植物の無断採取や盗掘等の防止のため、阿蘇市野生動植物保護監視員と連携して、パトロール巡回の強化に取り組んでいきます。
○上下水道課
水道事業は、安心・安全な生活用水の安定的供給に向け、水質管理及び水道施設の維持管理を適正に継続、老朽化が進む水道施設の更新整備を効率的かつ計画的に行います。
下水道事業は、昨年度から移行した公営企業会計の利点を活かし、経営状況の的確な把握と事業会計の透明化を図り、健全な事業運営に努めます。また、下水道未普及地区の整備として、南黒川地区の管渠整備を継続的に進め、老朽化した浄化センター監視制御装置の更新事業に取り組みます。
特に本年度は、水道事業・下水道事業ともに安定した事業継続、中長期的な経営の基本計画として策定した「経営戦略」を見直し、人口減少による収益の減少、物価高騰などに起因する維持管理費増大や今後増加する更新費用等を長期的に見据え、持続可能な事業運営のため、料金適正化の検討も始めます。