- 発行日 :
- 自治体名 : 熊本県氷川町
- 広報紙名 : 広報ひかわ 2025年4月号
3月の町議会定例会では、藤本町長が令和7年度の施政方針を述べました。住民の皆さんの生活がより良いものとなるよう、町が取り組む事業は多岐に渡ります。町を取り巻く現状と併せて大きく5つの分野に分けてご紹介します。
■町を取り巻く現状と基本方針
政府は、昨年6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2024」において、「我が国経済は、デフレから完全に脱却し、成長型の経済を実現させる千載一遇のチャンスを迎えている」としています。
また、社会課題への対応を通じた持続的な経済成長の実現に向けて、「豊かさを実感できる『所得増加』及び『賃上げ定着』」「豊かさを支える中堅・中小企業の活性化」「投資の拡大及び革新技術の社会実装による社会課題への対応」「スタートアップのネットワーク形成や海外との連結性向上による社会課題への対応」「幸せを実感できる包括社会の実現」「持続的な経済成長の礎となる国際環境変化への対応」「防災・減災及び国土強靭化の推進」を掲げています。
これを踏まえて、令和7年度の予算要求の基本方針としては、年金・医療などの社会保障費は高齢化などに伴う自然増を加算した範囲内、地方交付税交付金などは「新経済・財政再生計画」との整合性に留意、義務的経費については前年度予算の範囲内、その他の経費については前年度当初予算の90%以内の額で要求できることとされました。
また、「基本方針2024」や「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024改訂版」などを踏まえた重要な政策について「重要政策推進枠」を措置することとされました。
熊本県においては、熊本地震、新型コロナウイルス感染症、令和2年7月豪雨災害の3つの課題への取り組みを最優先としてきた一方で、中期的な財政収支の試算で、令和7年度の財政不足額を14億円と見込んでいたところ、公共施設などの老朽化対策の推進や物価高騰に伴う光熱費の増加による施設の維持管理経費の増加などを背景に、「令和7年度当初予算の大まかな収支予算の見通し」では、財源対策を行った上でもなお財源不足が見込まれています。
令和7年度予算は、「くまもと新時代共創基本方針」のもと、熊本のさらなる発展につながる必要不可欠な取り組みを推進するとともに、将来の県債償還の増加を見据え、一般行政経費や投資的経費にシーリングを設定のうえ、歳入歳出の見直しを徹底するとしています。
さて、本町の令和5年度一般会計決算による実質収支は3億8385万2千円、繰越金や積立金取り崩し額を含めた実質単年度収支は1億1905万5千円の赤字となり、経常収支比率は、99・9%と前年と比べて0・4ポイント上昇しました。さらには、今後数年間は公債費が9億円前後で推移することが予想され、公債費への一般財源の充当を要因として経常収支比率は高い水準で推移することが見込まれます。
また、令和5年度末における財政調整基金残高は、14億2046万1千円で、前年度と比較して約3万円増加しているものの、財政調整基金を取り崩さなければ予算編成ができない状況は依然として続いており、一般財源歳出の抑制が急務となっています。
そこで、令和7年度一般会計予算の編成方針として、新型コロナウイルス感染症の残る課題への対応を行うとともに、原油・原材料価格の高騰や円安の進行に伴う物価高騰の影響により各種費用が上昇していることに加え、令和7年度以降も県営湛水防除事業、下水道宮原処理区流域編入事業や優良賃貸住宅整備事業、企業誘致事業、クリーンセンター解体事業などの大きな財政需要が見込まれます。重要な事業には必要な財源を確保する一方で、事業規模の精査を行うことで歳出抑制を図り、その他の事業では行政評価等の活用による事務事業の見直しを積極的に行い、財政の健全化、持続可能な行政運営に向けて、職員一人一人が町財政の厳しい現状について共通の認識に立ったうえで、思い切った合理化、効率化を行うなど、これまで以上に徹底したコスト意識のもとメリハリのある予算編成を心がけ、対前年比0・8%増の総額79億6166万5千円としました。
歳入では、国県支出金、諸収入の増加を見込み、財源確保のために財政調整基金から必要な繰り入れを行ったところです。
歳出では、議会費、総務費、民生費、教育費を増額予算とし、衛生費、農林水産業費、商工費、土木費、消防費、公債費は減額予算としました。
氷川町が誕生して20年の節目を迎え、激変する社会情勢を的確に捉え、持続可能な基礎自治体としての方向性を示す大切な時期を迎えています。令和7年度は「人口減少の克服と地域産業の活性化に向けた新たな挑戦」と位置づけ、住民生活を最優先に考える多様性のある視点と財政健全化を見据えた徹底した行財政改革に取り組むとともに、国が掲げるデジタル化社会と地方創生理念を念頭に置き、人口減少、少子高齢化、地域産業の活性化、企業誘致に向けた積極的な行政運営を図るべく氷川町総合振興計画と地方創生総合戦略に基づいた次の5つのまちづくり戦略を掲げ、町民の皆さまと協働しながら『小さなまちで、大きな幸せを感じる田園都市・氷川』の実現に向け、堅実かつ積極的な町政の運営を行っていきますので、一層のご協力をお願い申し上げます。