しごと 人権コラム 心、豊かに

■ハラスメント・シリーズ(2)「職場の姿は」
パワハラには「わかりにくい=認めにくい」性質があります。例えば、職場で上司によるあからさまなセクハラ行為があったとき、それを見た周囲は「セクハラだ、見過ごせない」といった感情を抱き、“その行為の証人”となり得ます。ところがパワハラの場合、セクハラと同様の感情は抱いても、“その行為の証人とならない”ことが多々あり得ます。
シリーズ(1)の広報ひた7月号でも書き記したように、職場でパワハラに該当する事案が起きても、「同じ失敗ばかり、注意されて当然」「言い回しはきついが、指導の範囲内だ」など、加害側を擁護してしまう空気感は少なからず発生します。そして、この空気感を構成する成分のひとつが、“トップや上司を敵に回せない=怖い=自分は巻き込まれたくない”という「自己防衛機能」です。
職場(組織)の健全化を図るため、「ハラスメント防止委員会」などの自浄機能を整備する行政機関や企業は増えていますが、その委員会の構成メンバーは「内部の者」が主流で、「外部の者」の参画はほんの少数です。このため、内部の者がその組織の有力者の行為に対し、「パワハラだ。厳粛に処分が必要!」と踏み込めず、結果としてパワハラと認定されないまま改善されない状態が続いてしまう現実が多く見受けられます。このように、勇気を出して立ち向かおうとしても跳ね返される高いカベがパワハラを無くせない大きな要因となっています。
そこで、組織におけるパワハラを無くすためにやらなければいけないことのひとつに、ハラスメントを調査・審議する機関のメンバー構成を「外部の者(第三者委員会)」とすることです。某テレビ局もこの体制で事実と真実を探りました。
“職場のあなたの振る舞いをあなたの家族や友人、そして外部の人に教えても大丈夫ですか?”
外部への調査依頼は人選も含め、それなりの時間と経費が発生します。自分の所業が外部に知れわたり、しかも不要なお金が掛かるという状態は、組織にとって何ら利益をもたらさないことを共有・認識し、「職場という閉ざされた空間なら、権力に任せ何をやっても大丈夫。自分の人生に影響はない」などの都合の良い自己解釈を許さない風土づくりが急がれています。
次号に続く…

問合せ:人権啓発センター
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