- 発行日 :
- 自治体名 : 大分県日田市
- 広報紙名 : 広報ひた 令和7年8月号
■咸宜園教育は時空を超える
日田市長 椋野美智子
大阪・関西万博に、日本遺産「近世日本の教育遺産群‐学ぶ心・礼節の本源‐」を出展しました。咸宜園・豆田町のほか、足利学校、弘道館・偕楽園、閑谷学校が構成遺産です。
基調講演は時代考証学会会長の大石学名誉教授でした。先生によると、
・250年続いた徳川の平和は、教育に支えられており、江戸の教育と平和は、幕末に訪れた外国人が一様に高く評価していたものです。
・男性だけでなく女性も、江戸だけでなく地方でも、庶民まで識字率が高く、子どもの教育に熱心で、本を読んだり、旅日記を書いたり、句を作ったり、学ぶことを楽しんでいました。
・咸宜園には、ただ学ぶためだけに身分、年齢、学歴、性別を問わず全国から5,000人もの塾生が集まり、好きな期間学び、お金がなくなったら、豆田町の豪商がアルバイトをさせて支えていました。
講演の後、構成遺産がある4市の市長等が加わり、パネルディスカッションをしました。
私は、咸宜園の教育の礎である「咸宜」「敬天」「治めてのち教える」について述べました。「咸宜」は「みなよろし」で多様性を受け入れる寛容さ「敬天」は、人の評価ではなく、天が見ているからと、自分で自分を律する主体性「治めてのち教える」は、知識の伝授の前に、まず学びに向かう姿勢をつくること
咸宜園教育は、時空を超え、今に通じ、世界に通じる、普遍的価値を持っています。