文化 市長コラム23虫の目と鳥の目と魚の目と

■次世代につなぐお二人の思い
日田市長 椋野美智子

日田の伝統文化と祭を今日の隆盛に導いてくれたお二人、後藤稔夫(としお)さんと小野ひとみさんが相次いで亡くなりました。

後藤さんは103歳、亡き母より3つ先輩で同じ三隈幼稚園のご卒園でした。数々の業績を成し遂げ、まさに「巨星墜つ」です。99歳まで30年間、日田祇園山鉾振興会の会長をつとめられました。
国の重要無形文化財、さらには、ユネスコ無形文化遺産にも登録されている今日の日田祇園の姿は、後藤さんの尽力なくしてはありません。「大阪御堂筋パレード」や「京都平安建都1200年記念行事」、ハワイの「ホノルルフェスティバル」にも、日田祇園を参加させ、大喝采を受けました。
祇園山鉾振興会の面々をまとめてこれだけの成果を挙げられたのは、ひとえに後藤さんの情熱と人柄あってのことです。

小野ひとみさんは68歳、私と同世代。まだまだやりたいことがたくさんあって、その意味では志半ばだったのではととても残念です。
着付け教室の生徒さん達と一緒に「ひた琇未(ひとみ)会」を立ち上げ、祭での着付けボランティアを始めとし、蔵に眠る着物に光を当てる「懐かしの着物展」や「高校生ふるさと思い出プロジェクト」など、着物文化の再興に力を注がれました。次々に新しいアイデアが湧いて、いつも次のプロジェクトを熱く語っていました。
私も、小野さんと出会い、これぞという式典やおもてなしには和装で出席するようになりました。

お二人のご尽力に心から感謝し、その日田への熱い思いを次世代につないでいきます。