その他 第246回 郷土の植物(437)

■コクラン(ラン科)
低地(ていち)から丘陵地(きゅうりょうち)のやや湿気(しっけ)を帯(お)びた山道(やまみち)の傾斜地(けいしゃち)に生育(せいいく)する高さ30センチほどの多年草(たねんそう)です。ランの仲間(なかま)の特徴(とくちょう)で、茎(くき)の基部(きぶ)が大きく膨(ふく)らんで多肉質(たにくしつ)となった偽球茎(ぎきゅうけい)が見られます。また、これに前年の偽球茎(ぎきゅうけい)が根元(ねもと)で並(なら)んでいます。
下部(かぶ)につく互生(ごせい)の葉(は)は、ぎざぎざのない全縁(ぜんえん)で大小2~3個(こ)で先のとがる広楕円形(こうだえんけい)です。大きさは長さ12センチ、幅(はば)が4センチほどです。
夏の頃(ころ)、花弁(かべん)が細(ほそ)い線状(せんじょう)となったラン特有(とくゆう)の形をした径(けい)1・5センチほどの暗紫色(あんししょく)の花を総状に数個(すうこ)咲(さ)かせます。花をルーペでよく観察(かんさつ)すると、がく片(へん)は披針形(ひしんけい)、側花弁(そくかべん)は線形(せんけい)、唇弁(しんべん)は倒卵形(とうらんけい)で反曲(はんきょく)しています。雌(め)しべの花柱(かちゅう)(子房(しぼう)と柱頭(ちゅうとう)との中間部(ちゅうかんぶ))だけが太いので目立ちます。
和名の由来(ゆらい)は、花の色が黒いので黒蘭(コクラン)の名があります。
竹田では里山(さとやま)の山道(やまみち)の土手(どて)で稀(まれ)に観察されますが、個体(こたい)は少ないです。花期(かき)は6月から7月です。
阿孫 久見