- 発行日 :
- 自治体名 : 大分県由布市
- 広報紙名 : 市報ゆふ 2025年6月号 vol.237
今回は、湯布院町にあるゲンジボタルの生息地のご紹介です。
日本の夏の風物詩の一つとして、「ホタル」を想像する方も少なくないでしょう。蛍見橋は、40種類以上いるホタルの中でも、ゲンジボタルの観賞スポットとして有名です。
ゲンジボタルは日本に生息するホタルの中でも比較的大きな部類で、成虫は15mm前後にもなります。湯布院町では5月下旬から6月中旬にかけて飛び交い、淡く、心を奪われる光は、私たちに夏の始まりを知らせてくれます。
古くより日本人の心に寄り添い続ける夏の夜の彩り。蛍見橋から見る彩りは、その年の夏を忘れられない思い出にしてくれるでしょう。
湯布院地域の津江川、湯の坪川、金鱗湖から城橋の間は水温の変化が小さく、水深の浅い清流であること、また、川の両岸に草が繁茂していること、土手も自然の状態に近く、土砂地が確保されていることなど、ホタルの生息に適した環境が整っている地域です。こういった条件が揃った上で見ることができるホタルは、湯布院地域の自然が私たちにくれた贈り物なのかもしれません。
しかし、昭和46年、水質の低下や工事などの影響で、一時はそのホタルを見ることが難しくなった時期もありました。そのような状況の中、地域の教諭9人でゲンジボタル研究会が結成され、由布院温泉観光協会の協力や文部省(当時)の助成を受け、養殖研究を始めました。昭和49年には宇奈岐日女神社横にゲンジボタルの養殖池をつくり、幼虫の養殖と放流を繰り返し行いました。
また、地域住民の献身的な努力もあり、水質は徐々に回復し、ゲンジボタルの姿も見られるようになりました。
こうして地域全体で自然環境の保護に取り組んだ歴史と成果を永く記憶にとどめるため、由布市では指定文化財(天然記念物)として、生息地一帯を指定しています。
由布市の自然と先人が私たちにもたらした夏の光は、後世に残すべき由布市の姿です。
問合せ:社会教育課
【電話】097–582–1203